ラウンド、フラット、ハーフの違いや特殊な弦についての解説のほか、リプレイスメントにおすすめの弦と弦交換の際にあったら便利なアイテムを紹介します。音作りにも大きな影響をあたえる弦、今一度考えてみませんか?
ベース弦の種類は大きく分けて3種類
ベース専門店・Geek IN Box代表
嵯峨駿介さん
芯線を細い弦で巻いた「ラウンドワウンド」
ラウンドワウンド弦はカーボンやスティール製の芯線の周りを丸い弦で巻いた構造を持ち、ざらっとした質感を持ちます。指弾き、ピック弾き、スラップ、あらゆる奏法に適したしなやかさとバランスのいいサウンドが特徴的です。
ほとんどのベーシストはラウンドワウンド弦を愛用しており、いくつかある種類の中でも最もポピュラーと呼べるでしょう。特に初心者の方には特別な理由がなければラウンドワウンド弦をチョイスすることをおすすめします。
芯線を平らな表面の弦で巻いた「フラットワウンド」
フラットワウンド弦はラウンドワウンド弦と同様の芯線が使われますが、周りに巻く巻き弦の表面が平になっています。
ラウンドワウンド弦に比べるとサスティーンや倍音は抑えられており、甘いトーンが特徴的。丸い音が求められるジャズやソウルでの指弾きにとってもおすすめです。同じゲージでもラウンドワウンド弦よりもテンション感がいくらか強めな上に指との摩擦が大きいので慣れが必要な弦と言えます。表面が滑らかなのでフレットレスベースの指板に傷をつけないようにするのにも有効です。
ラウンドとフラットの中間「ハーフラウンド」
ハーフラウンドは芯線側は丸、表面側は平らというデザイン。サウンドに関してもこもり過ぎないきらびやかさを持ったラウンドワウンド弦とフラットワウンド弦の中間のような印象。表面が平らなために弦に指が触れるフィンガーノイズやビビリ音が少ないのも大きな特徴のひとつですね。
ラウンドワウンド弦とフラットワウンド弦に比べると少しニッチな構造のため、種類があまりなく取り扱っている楽器店も多くはありません。
ピッチ向上、長持ち、派手…などの目的に合わせて改良された特殊な弦
テーパーコア(テーパー弦)
テーパーコア弦は、ブリッジの駒に乗る部分が一段細くなっているためにブリッジ部分で無理に弦が折れ曲がることがなくなります。特に太い弦が用いられる5弦ベースや6弦ベースにはよく採用され、ピッチ間の向上やゆるみがちなテンション感の改善に有効です。
5弦だけテーパードになっているパッケージが一般的ですが、その場合は4弦や3弦との繋がりが悪いという意見もあります。ですので、特にジャズベースをもとにしたようなトラッドなスタイルの5弦ベースではノンテーパードを好んで使うベーシストも多いですね。
コーティング弦
弦が劣化する大きな原因のひとつは皮脂などの汚れです。演奏に指を使う以上皮脂よごれが弦に付着することは避けられませんが、コーティング弦はその限りではありません。
弦の表面を特殊な技術でコーティングすることで金属部分に汚れが付着することを防ぎます。同時に表面は滑らかになるためにプレイヤビリティにも影響を及ぼし、フィンガーノイズも低減します。
値段はノンコート弦よりも高価ですが、長持ちするため、結果的には経済的にも優れています。
ネオン弦
ステージ上の明るい照明の下では鮮やかなネオンカラー、ブラックライトの下では明るく発光する特殊な弦です。見た目がわかりやすく派手で、ステージ上での存在感は抜群。発光塗料によりコーティングしている1種のコーティングであるためノンコート弦に比べると弦のフレッシュなサウンドが長続きします。
伝統的な弦メーカーのDRがリリースしているNEONが有名で、ピンクやブルー、グリーンのカラーや別々のカラーをパッケージしたマルチカラーも存在します。
厳選!おすすめベース弦4ブランド
D'Addario ニッケル バランスドテンション Long Scale .045-.107 EXL170BT
世界ナンバーワンのベース弦
ダダリオは世界で最もポピュラーなストリングメーカーのひとつです。ダダリオ弦は張りたてのブライトなサウンドが特徴的ですが、時間が経ってもガッツのあるミドルレンジを持っています。
本商品はバランスドテンションというデザインが施されています。現在ポピュラーなゲージのセットは各弦によって指に感じるテンション感に違いがあり、実際の張力もバラバラです。バランスドテンションはそのテンション感の微妙な違いを正しく補正し、端正なテンション感を得られるようになっています。
D'Addario
ベース弦 ニッケル バランスドテンション Long Scale .045-.107 EXL170BT 【国内正規品】
参考価格:
2,991
円
価格情報は以下に表示された日付/時刻の時点のものであり変更される場合があります
amazon.co.jp:2024年11月21日 14:32時点
rakuten.co.jp: 2019年12月18日 19:13時点
shopping.yahoo.co.jp: 2024年11月16日 20:15時点
本商品の購入においては、購入の時点で上記各サービスに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます
Elixir NANOWEB Long Scale Light/Medium .045-.105 #14077
コーティング弦のパイオニアであり超定番ブランド
エリクサーはコーティング弦のメーカーとしては最も人気があります。本商品は新開発のナノウェーブと呼ばれる構造を持ち、前身のポリウェーブに比べると格段に薄いコーティングが施されています。
従来のポリウェーブでは厚いコーティングゆえに膜のかかったようなサウンドが弱点とされていました。この点がナノウェーブでは改善され、ブライトなサウンドと長い寿命を実現しています。以前のエリクサーを敬遠していたベーシストにも十分におすすめできる、良質なプロダクトと言えます。
Elixir
ベース弦 NANOWEB ニッケル Long Scale Light/Medium .045-.105 #14077 【国内正規品】
参考価格:
6,164
円
価格情報は以下に表示された日付/時刻の時点のものであり変更される場合があります
amazon.co.jp:2024年11月21日 16:46時点
rakuten.co.jp: 2019年12月18日 19:13時点
本商品の購入においては、購入の時点で上記各サービスに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます
Dean Markley 2690 SR2000
1970年代から続く伝統的なストリングメーカー
Dean Markleyは店頭的なストリングメーカーで、多くのミュージシャンに愛されています。SR2000は全ての弦がテーパーコア仕様になっている特殊なスペックを持ちます。
ブリッジ部分での負荷が少ないためにサウンドはストレートでスムース。そのレンジの広さから海外のゴスペル系アーティストから大きく支持されています。
裏技的に、ブリッジの駒が物理的に下げられず、弦高が下げられないという問題もこの弦を使えば弦高を下げられます。
Dean Markley
2690 SR2000 4-String Bass Strings【並行輸入】
参考価格:
3,180
円
価格情報は以下に表示された日付/時刻の時点のものであり変更される場合があります
amazon.co.jp:2024年11月21日 16:46時点
本商品の購入においては、購入の時点で上記各サービスに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます
R.Cocco リチャードココ ベース弦 RC4G N (ニッケル .045-.105)
指弾きベーシストにはぜひ試してほしいハンドメイド弦
イタリアの職人がハンドメイドで制作し、その品質の高さが世界中で評価されているリチャードココのニッケル弦です。比較的緩めに作られたテンション感は、演奏の自由度を上げてくれるもので、特に指弾き、スラップを多用するプレイヤーに好まれています。
R.Cocco
ベース弦 RC4G N (ニッケル .045-.105)
参考価格:
4,150
円
価格情報は以下に表示された日付/時刻の時点のものであり変更される場合があります
amazon.co.jp:2024年11月21日 16:33時点
rakuten.co.jp: 2024年11月10日 23:45時点
shopping.yahoo.co.jp: 2024年11月16日 20:15時点
本商品の購入においては、購入の時点で上記各サービスに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます
プロリペアマン直伝!弦交換の方法
ポストに巻く弦の長さを決める
ポストに弦を巻く長さによって、ナット部分での弦の折れ曲がる角度は変化します。この角度を調整することでテンション感の調整も可能なため、弦を巻く長さでテンション感を調整できる、ということでもあります。
長さの好みは人によって様々ですが、私が仕事で弦交換をするときには細めのポストの場合は90mm、太めのポストの場合には120mm程度を基準にしています。
短すぎるとナットを押し付ける力が足りずに弦が落ちてしまったり、弦が抜けてしまうことがあります。長すぎるとチューニングの安定性に問題があります。
真っ直ぐにしながら巻き上げる
弦の長さを決めたら、その部分でペグポストの穴に向かってまっすぐに折り曲げてください。ここで無理に穴に入れたり、角度がずれていると巻き上げた際の弦のねじれにつながってしまいます。
曲げた先を適切な長さにカットし、穴に入れます。ペグを回して下に向かって弦を巻いていきます。ここで注意して欲しいのはポストと弦との間に隙間が生まれないようにすることです。ここの隙間をできるだけなくして巻くことで、後々のチューニングの安定性につながります。
リペアのプロが選ぶ、弦交換に便利なアイテム3選!
D'Addario プラネットウェーブス ストリングワインダー ベース用 ニッパー付き Pro-Winder DP0002B
これ1つで手早く弦交換が可能!
弦を巻き上げるにはペグを回す必要がありますが、それを手で行うのとこのようなストリングワインダーを使って行うのとではスピードが何倍も違います。
本商品は弦を巻くためのストリングワインダーに加えて、弦を切るためのニッパーも一体化されたアイテムです。いくつもの道具を持ち歩かなくても済むので、ケースに忍ばせておくのには最適ですね。実際にこのようなアイテムを常に持ち歩いているミュージシャンは多いです。
Planet Waves by D'Addario
ストリングワインダー ベース用 ニッパー付き Bass Pro-Winder String Winder and Cutter DP0002B 【国内正規品】
参考価格:
1,836
円
価格情報は以下に表示された日付/時刻の時点のものであり変更される場合があります
amazon.co.jp:2024年11月21日 14:32時点
rakuten.co.jp: 2019年12月18日 19:13時点
shopping.yahoo.co.jp: 2024年11月16日 20:15時点
本商品の購入においては、購入の時点で上記各サービスに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます
D'Addario プラネットウェーブス レモンオイル PW-LMN
指板の保湿、汚れ落しに
弦を交換したタイミングは普段掃除できないところをメンテナンスするのに最適です。おすすめしたいのは指板の保湿。
オイルで指板を磨くことで汚れを落とす他に、保湿の効果を持ちます。また、オイルを染み込ませることで指板が湿度の影響を受けることを最小限に食いとどめることができます。冬や梅雨の時期にネックにトラブルが起きた時にはオイルでのメンテナンスも有効な改善策のひとつです。本商品のような粘度の低いオイルの他に、粘度の高いオイルも合わせて使うとさらに効果的です。
Planet Waves by D'Addario
レモンオイル PW-LMN
参考価格:
991
円
価格情報は以下に表示された日付/時刻の時点のものであり変更される場合があります
amazon.co.jp:2024年11月21日 14:32時点
rakuten.co.jp: 2021年6月14日 10:57時点
shopping.yahoo.co.jp: 2024年11月16日 20:15時点
本商品の購入においては、購入の時点で上記各サービスに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます
KC フレット磨きプレート PFB-500 (2枚組み)
フレットもピカピカに
先に紹介したレモンオイルでの指板のメンテナンスと同時に、フレットのメンテナンスも行うことをおすすめします。
リペアショップでは指板をマスキングテープなどで保護しながらの処理を行うことが多いですが、本商品を使うことで磨くフレットの周りだけを保護し、コンパウンドなどから指板を保護することができます。
フレットを磨くことで引っかかりがなくなり、スムーズなフィンガリング性能を実現します。順番としてはフレットを磨いた後に指板とフレットをまとめてオイルで磨くことをおすすめします。
KC
フレット磨きプレート
参考価格:
700
円
価格情報は以下に表示された日付/時刻の時点のものであり変更される場合があります
amazon.co.jp:2024年11月21日 14:33時点
rakuten.co.jp: 2019年12月18日 19:13時点
shopping.yahoo.co.jp: 2024年11月21日 00:48時点
本商品の購入においては、購入の時点で上記各サービスに表示されている価格および発送可能時期の情報が適用されます
【こぼれ話】弦は茹でると復活するって本当?
本当に復活する! けど実用的ではない。
弦をお湯で茹でるとフレッシュな質感が蘇る、という都市伝説のような噂が存在します。経験上、これは本当です。鍋にお湯を張り、弦を入れて10分ほど煮沸するだけ、と手順はいたって簡単です。
ただし、弦が復活するのはほんの一瞬、30〜60分程度の印象で、個人的には実用的な効果は得られないと判断しています。弦の汚れは煮沸により取れるかもしれませんが、金属の疲労自体は取れません。
試したことはありませんが、もしかしたら洗剤などの溶剤を混ぜることで劇的な効果を得られるかもしれませんね。テストした時には結果を教えてもらえると嬉しいです。
より良いサウンドや楽器のためにも弦交換を
今回は様々な弦の種類やおすすめのモデルについてまとめました。弦は常にベーシストが接するもので、音を出すのに絶対に欠かすことのできない要素です。各メーカーは昔から試行錯誤を重ねて改良に取り組んでおり、今では数え切れないほどのモデルが存在します。
それでいて、メーカーによってサウンドや手触りにも違いがあり、ブリッジやピックアップに比べると手軽に交換が可能なパーツですので、音作りに悩んだらベース弦を違うものに替えてみるのもひとつの手かもしれません。
古い弦はピッチや音抜けが悪くなってきたりすることもあります。また、錆びた弦を張ったままにしていると指板やフレットにもダメージがあり、楽器の状態が悪化することもあるため、弦交換はメンテナンスの基本と言えるでしょう。色々試して自分に最適な弦を探してみてください。