ベーシストの強い味方であるベース用プリアンプについて、メリットやオンボードプリアンプを使ったアクティブベースとパッシブベースの信号の違い、インピーダンスの違いによるサウンドの違いについて解説。2ch仕様やチューブっぽいモデルについてもおすすめのものを紹介しています。
エフェクター?アンプ?ベースプリアンプの定義
ベース専門店・Geek IN Box代表
嵯峨駿介さん
ベースアンプは音作りを行うためのプリアンプ部分と、スピーカーを動かすためのパワーアンプ部分に分かれています。今回本記事で説明する、エフェクターの種類として呼ばれるプリアンプとはこのベースアンプのプリアンプ部分を外部に出したものです。
プリアンプはあくまで信号の加工をする部分であり、増幅する部分ではないために大きな電力が必要なく、小型化が容易で現在のペダル型としても発展しました。
ペダル型プリアンプはフットスイッチが搭載されているので、場面によりオンオフを切り替えてよりエフェクティブな使い方も可能なため、必ずしもエフェクター、アンプ、と定められるものではないかもしれません。
ベースプリアンプを使うメリットは「現場の環境に左右されづらい音作りが可能になること」
現場によって設置されているベースアンプは異なる場合がほとんどだと思いますが、ベースアンプはメーカーやシリーズによってサウンド面での特性の違いが大きくあります。これによって音作りに時間がかかったり、満足のいく音に追い込めないまま本番を迎えるなどの大きな問題をもたらすことがあります。
ベースプリアンプを持ち運ぶことは、ベースアンプの一部を持ち運ぶことと同義です。
ということは、常に同じアンプを使って音作りをすることができるということなので、どの現場でもある程度自分の把握している機材を使ってベースプレイができる、ということですね。
「プリアンプ内蔵ベース=アクティブベース」と「パッシブベース」の違い
プリアンプをベースに内蔵したものを一般的には「アクティブベース」と呼びます。アクティブベースには前述したのと同様にベースアンプの影響を受けにくい環境を作ることができる、というメリットがあります。
このタイプのプリアンプは「オンボードプリアンプ」と呼ばれ、それに対してペダルタイプのプリアンプは「アウトボードプリアンプ」という呼称で区別されています。また、パッシブベースとアクティブベースにはインピーダンス(抵抗値)という観点から、大きな違いが存在します。
ノイズに強くクリアなサウンドと手軽な音作りがメリットの「アクティブベース」
パッシブベースの信号は抵抗値の観点から「ハイインピーダンス信号」と呼ばれます。ハイインピーダンス信号は外的な環境の影響を大きく受け、例えば長いシールドケーブルを使うと信号は劣化し、音やせが発生。ノイズも乗りやすく、弱い信号と言えます。
それに対してアクティブベースから出力される信号は「ローインピダーンス信号」と呼ばれます。長いシールドを使っても音やせしにくく、ノイズに対しても強さを持ちます。ほとんどのプリアンプにはイコライザーも搭載されているため、手元で簡単にサウンドメイクができるのも、当然大きなメリットですね。
音楽の長い歴史の中で親しまれてきたサウンドが「パッシブベース」のメリット
前述した通り、パッシブベースには外的な環境に対する弱さが明確な弱点として存在します。ただし、この弱さはサウンドの面から言うと必ずしも弱点とは呼べないのも、一見相反した事実です。
長い間に渡って親しまれてきたパッシブベースの“劣化した”音は、スタンダードなサウンドとしてプレイヤー、そしてリスナーの耳に刻み込まれています。それに対してアクティブベースの“劣化の少ない”音は、相対的に冷たい音、味のない音、人工的な音、と捉えられてしまうことがあります。ウォームでなじみやすい、適度に劣化した音こそがパッシブベースの利点と言えるかもしれません。
パッシブベースを加工せずにアクティブ化できるのがペダル型プリアンプのメリットの1つ
前述のようにプリアンプを用いることで、ノイズに強く、また音作りも手元でやりやすくなるというメリットが生まれます。しかし、パッシブベースにあとからプリアンプを内蔵しようとなると、ボディを削ってプリアンプが入る隙間を確保したり、ノイズが発生しないようにキャビティの中を加工する必要が発生します。
これらはリペアの専門家などでない方がやるには難しい技術となるうえに、イメージどおりの音になるかはつけてみないと分からない、という側面もあります。
そのため、エフェクターなどと同じ扱いで外つなぎが出来るペダル型プリアンプは、楽器店で試奏も出来ますし、交換もかなり容易です。
定番比較!おすすめのベースプリアンプ
ロックサウンドにおすすめ、MXR M80 BASS D.I.+
名門、MXRが手がけたベースプリアンプ、M-80はベストセラーになり長年にわたって多くのベーシストのサウンドを彩っています。
ミドルをスイープするCOLORスイッチと3つのイコライザーを組み合わせると、クリーンでありながらもドライブ感のあるロックベースらしいサウンドをシンプルに作ることができます。さらに、独立したディストーションを併用することで荒々しいドライブサウンドも取り入れることができます。
ペダル自体のバイパススイッチの他に、ディストーションチャンネルのバイパススイッチが搭載され、場面に合わせてサウンドを変化させられる、非常にフレキシブルなペダルです。
MXR
M80 BASS D.I.+
参考価格:
33,085
円
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タイプ |
ディストーション
|
出力 |
ー
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幅 |
220mm
|
奥行 |
162mm
|
高さ |
42mm
|
重量 |
1375g
|
DI機能あり |
あり
|
ヘッドホンアンプ機能あり |
ー
|
歪み機能あり |
あり
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多機能さがウリ。EBS MICRO BASS 2
2つのチャンネルを搭載し、適した場面で適したチャンネルのサウンドをチョイスすることができます。エンハンス機能やドライブサウンドも搭載し、作れるサウンド自体に非常に広い幅を持たせてあります。もちろんミキサーにプラグインするためのバランスアウトも搭載。
現場での音作りを重視したスペックに仕上がっていますが、ヘッドホンアウトが搭載されているために自宅での簡単なモニター、練習にもぴったりでしょう。ベーシストのミュージックライフを豊かにする、文字通りのベースギア。
EBS
プリアンプ MICRO BASS 2 マイクロベース2
参考価格:
50,600
円
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タイプ |
ー
|
出力 |
ー
|
幅 |
153mm
|
奥行 |
110mm
|
高さ |
58mm
|
重量 |
875g
|
DI機能あり |
あり
|
ヘッドホンアンプ機能あり |
あり
|
歪み機能あり |
あり
|
クリアでナチュラルなHAO BL-1 BASS LINER
エフェクターで有名なHAOと、近年小型ベースアンプで名声を上げるPhil Jones Bassのコラボレーションプロダクト。その最大の魅力はサウンドのナチュラルさ。EQのつまみを真ん中に置いた場合には、ベースのサウンドに色付けをすることなく信号をアウトプット。
通常のプリアンプには3バンドイコライザーが搭載されますが、本商品には5バンドイコライザーを採用。基本がナチュラルなサウンドであることに加えて、細かい設定が可能なイコライザーがあることで、純粋なベースサウンドの補正のためのプロダクトといえます。
HAO
BL-1 BASS LINER BASS 5-BAND EQ PREAMP ベースプリアンプ
参考価格:
23,800
円
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タイプ |
ー
|
出力 |
Input、Output、Direct Out、DC IN(9V-18V)
|
幅 |
119mm
|
奥行 |
94mm
|
高さ |
34mm
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重量 |
400g(電池含む)
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DI機能あり |
ー
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ヘッドホンアンプ機能あり |
ー
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歪み機能あり |
ー
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チャンネル数の多さならTECH21 PROGRAMMABLE BASS DRIVER DI
おそらく最も人気のあるベース用プリアンプと言えるSANSAMP BASS DRIVER。本商品はその3チャンネルバージョンです。特性はそのままに、高い利便性を獲得。
指弾き、ピック弾き、スラップ、それぞれで異なるサウンドを求めるベーシストが多いと思いますが、アンプを3台用意するのも、それぞれのためにエフェクターを用意するのも難しいのが現実です。本商品はそんなベーシストにはぴったりの1台で、3つのチャンネルを用途に合わせた音に設定し、瞬時に呼び出すことが可能なのです。
TECH21
PROGRAMMABLE BASS DRIVER DI サンズアンプ SansAmp
参考価格:
46,200
円
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タイプ |
ベース用
|
出力 |
ー
|
幅 |
184mm
|
奥行 |
127mm
|
高さ |
51mm
|
重量 |
862g
|
DI機能あり |
あり
|
ヘッドホンアンプ機能あり |
あり
|
歪み機能あり |
ー
|
クラシックなウォームサウンドならAMPEG SCR-DI
AMPEGといえば有数の伝統的なベースアンプブランドです。本商品はつい最近、満を辞してリリースしたベース用ペダル型プリアンプです。AMPEGらしい、またチューブらしい、ウォーミーなサウンドを基本に設計されています。
3バンドのイコライザーの他に、ウルトラロー、ウルトラハイスイッチを搭載。これらは伝統的に搭載される機能で各帯域をスイープします。独立したドライブチャンネルやヘッドホンアウト、バランスアウトも搭載。過不足なく機能を備えている点も非常に好印象です。
AMPEG
ペダル プリアンプ SCR-DI
参考価格:
38,500
円
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タイプ |
ベース用
|
出力 |
ー
|
幅 |
193mm
|
奥行 |
110mm
|
高さ |
56mm
|
重量 |
1200g
|
DI機能あり |
あり
|
ヘッドホンアンプ機能あり |
あり
|
歪み機能あり |
あり
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選択肢が多いプリアンプ。自分の音楽に合ったアイテムを探して
仕事上、ベース用のペダルプリアンプを取り扱う機会は他のエフェクターに比べても多く、以前よりもその存在感は強くなっているように感じます。リリースされているプロダクトの数もわずか数年でグッと増加し、オンボードプリアンプの種類も増えました。
ベースプリアンプとは、ベーシストが自らのサウンドを決定づけるための心強いギアです。ペダル、オンボード共に自分のベースプレイを最大限に助けてくれるモデルを選びたいですね。