「ライン録音ってなに?」「DTMでギター録音ってどうしたらいいの?」「音作りのコツは?」「ノイズを減らすには?」など、DTMでのギターの録音方法について、様々な疑問についてお答えします。ギターアンプのマイキングについても紹介しています。いい音でギターを録音しましょう!
DTMでのギター録音の方法
有限会社フラクタル・デザイン ライター&エンジニア
中村太樹さん
ここでは、ライター&エンジニアの中村太樹さん監修のもと、DTMでのギター録音の方法について解説します。アンプからの生音をマイクで拾って録音する方法や、ライン録音について触れています。録音時にうまく録れない場合の解決策や、録音時に役立つアイテムなどもご紹介。ぜひ合わせてチェックしてみてください。
アンプからの生音をマイクで拾って録音
基本的にDTMではラインで録音したものを後から歪ませたりして音を作っていきますが、お気に入りのアンプがあるのであればそれを使うという方法もあります。ですが、「アンプの音を拾いたいけど、どのマイクを使えばいいのか分からない……」という方も多いと思います。
オーソドックスなマイクとして、SM57というSHURE社のダイナミックマイクが1万円ほどで購入できるので、最初の一本におすすめですね。他にもギターアンプに立てるものだと、SENNHEISER MD421やRoyer Labs R-121などがあります。
マイクの位置でサウンドも変わる
マイク決めが終わったら次はマイキングをしましょう。基本的にスピーカーの中心は高音成分の多いシャキシャキしたサウンドになり、中心から離れていくほど低音が強調されるサウンドになります。
まず始めはダストキャップ、センターキャップと呼ばれる中心の丸い部分と、コーンと呼ばれるセンターキャップの周りの円(実際に音が出ていて振動している部分)の境目を狙うといいでしょう。距離は指2、3本分、大体3~5cmを基準にセッティングしてみましょう。距離は離せば離すほど音像がぼやけていきます。
一度録音を開始してみて、実際に録った音がどういうものなのか確認しながら、高音域がもっと欲しければ中心を狙い、低音域が欲しければ中心から外していって、納得のいくサウンドになるまで試行錯誤してみてください。
元の音が良くないと録った音も良くならない
いい音で録音するコツは、ギターとアンプでいい音を作ることです。当たり前のことですがこれが一番重要です。自宅のアンプにマイクを立てて録音する際、サウンドがクリーンやクランチぐらいの歪みであればいい音で録ることは可能ですが、ハイゲインサウンドを小さなアンプで鳴らしそれをいい音で録るのは難しいでしょう。というのも、小さなアンプだと迫力やパンチ感がでないからです。
ロック系やラウド系……など激しいギターサウンドを求めるのであれば、最近のアンプシュミレーターはかなり高性能なのでそちらを使うことをおすすめします。
部屋鳴り
また部屋の鳴りも影響してくるので、どうしてもいい音で録れないときは部屋の鳴りを工夫することも必要かもしれません。マイクの角度を変えてみる、2本のマイクで録音してそれらを混ぜ合わせる、2本のマイクでフロントとリアを録音してみる……など多くのワザがあります。アイディア次第で、もしかするとすごくいい音で録れる…なんてこともあるかもしれないので、いろいろな方式を楽しんでください!
ライン録音
ライン録音とは
ライン録音とは、マイクを使わずにDIやオーディオインターフェイスに直接シールドを接続して録音することを指します。マイクを使わないことで、DTM初心者でも手軽にギターの音を綺麗にレコーディングできます。
録ったギターの音は、DAW上で歪ませたり、リバーブを掛けたり、EQで調節したり……していきますが、そのときにアンプシュミレーターというアンプをモデリングしたものが必要になります。基本的にはソフトウェアのアンプシュミレーターを使うといいでしょう。
アンプシミュレーター(ソフト)を利用する
ソフトウェアのアンプシュミレーターは、クリーンで録ったギターの音なら自由に後からでも加工できます。Marshall、Roland、Fender、VOX……など、ギターアンプのサウンドをPC上で再現することができ、自由にコンパクトエフェクターを追加したり、キャビネットを選んだり……できます。
ソフト上でアンプを録るマイクの種類を選べたり、位置を変えたりできるのですが、そのセッティングを少し変えてみたいというときは、上記で紹介している「アンプから生音で録音」を参考にしていただければ、いい音に近づけることができると思います。
アンプシミュレーター(ハード)を利用する
普段からスタジオやライブでハードのアンプシュミレーターを使っているのであれば、そのアンプシュミレーターにオーディオインターフェイス機能が無いか確認してみてください。最近のものであればオーディオインターフェイス機能搭載のものがあるので、慣れている機材を使ってレコーディングすることが可能です。
ハードウェアのアンプシュミレーターの欠点を挙げるのであれば、ソフトウェアのアンプシュミレーターに比べて、PC上で後から加工できる範囲が狭いということでしょう。
オーディオインターフェースが必須!
ギターの音をPC上の音楽制作ソフト(DAW)に取り込むためには、オーディオインターフェイスというものが必要です。簡単にオーディオインターフェイスについて紹介すると、マイクを通した歌声やギターなどの音をPCに入力したり、PC上の音をヘッドホンやスピーカーに出力させたりする機材です。
詳しいことは下記の記事を見ていただけるとより理解が深まると思います。おすすめのオーディオインターフェイスや自分に合ったオーディオインターフェイスの選び方など紹介しています。
おすすめのアンプシミュレーター(ソフト)
おすすめのアンプシュミレーターソフトを2つご紹介します。名機と呼ばれるアンプが入っているものや、iPhone、iPad用のアプリとして販売されていたアンプシュミレーターがデスクトップ版として登場したソフトをピックアップ。パッケージのデザインもかっこいいので併せてチェックしてみてください。
IK Multimedia AmpliTube MAX ギターサウンド・コレクション
参考価格:
59,800
円
名機と呼ばれるアンプがものすごくたくさん入っているパッケージ
IK Multimedia社のAmpliTubeの集大成ギターサウンド・コレクションAmpliTube MAX。これ1つあれば、他のアンプシュミレーターはいらないと言っても過言ではありません。今までソフトのアンプシュミレーターを使ったことない方であれば、AmpliTube 4のFREE DEMO版も用意されているのでまずはそちらで雰囲気を感じてみてください。
価格情報は以下に表示された日付/時刻の時点のものであり変更される場合があります
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Positive Grid BIAS Desktop Professional モデリング・アンプ・プラグイン PGBIASDTPRO
参考価格:
28,315
円
音がいいと話題になりデスクトップ版として登場
もともとはiPhone、iPad用のアプリとして販売されていたアンプシュミレーター。このアンプシュミレーターの特徴はアンプの中の真空管や音のキャラクターをかなり細かくセッティングできることです。ギタリストであれば、かなり追い込んだギターの音作りが可能でしょう。BIAS FXというコンパクトエフェクターを含めたルーティングを作れるものもあり、両方持っているとさらに強力です。
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おすすめのアンプシミュレーター(ハード)
ここでは、おすすめのアンプシミュレーターを2つ紹介します。業界最高クラスの超高音質を実現したものや、50種類のエフェクトパッチの記憶が可能なマルチエフェクターをピックアップ。高機能のマルチエフェクターのスペックをぜひチェックしてみてください。
BOSS(ボス)
Guitar Effects Processor ボス マルチエフェクター
参考価格:
132,000
円
次世代のフロア型ギター・アンプ/エフェクト・ユニット
音楽用途に特化して新開発された「超高速カスタムDSPチップ」を搭載し、サンプリング・レート96kHz、AD/DA変換32bit、内部演算32bit float(浮動小数点)処理という業界最高クラスの超高音質を実現しています。豊富な入出力端子との組み合わせによって、全てのギタリストにあらゆる場面で最高の表現力を提供してくれるマルチエフェクターです。
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ZOOM(ズーム )
ギター用 マルチエフェクター G3n
参考価格:
8,534
円
実在モデルを忠実にエミュレートした、13種類のアンプ/キャビネットモデル
最大5エフェクトを同時使用や接続順の並び替え、50種類のエフェクトパッチの記憶が可能なマルチエフェクター。演奏環境に合わせて全体の音質を瞬時に調節できるアウトプットEQ、音楽プレイヤーなどを接続できるAUX IN端子、エフェクトの設定を自動的に保存するオートセーブ機能などを搭載!ギターケースのポケットに収まる軽量コンパクトデザインで18時間の連続駆動ができます。
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音質向上、ノイズ軽減…音作りのコツ
ここでは、音質向上、ノイズ軽減など音作りのコツについて解説します。音質を上げる方法や、ノイズを減らす方法について分かりやすくご紹介。DTM初心者の方で音質を上げたいと考えている方や、ノイズに悩まされている方は必見です。ぜひ合わせてチェックしてみてください。
音質を上げるには
インピーダンスを合わせる
いいギターを買う、いいオーディオインターフェイス使う、いいケーブルを使う……など、機材のグレードを上げると音質が上がるのは当たり前です。ですが、実はもっと簡単に音質を上げる方法があります。それは、インピーダンスを合わせるというものです。
全然いい音で録音できない、音がこもる……などは、インピーダンスが合っていないことに原因があるかもしれません。インピーダンスとは、交流における抵抗のことです。少し難しい話も入ってくるので、ここでは割愛しますが、「ロー出しハイ受け」という言葉だけ覚えておいてください。
ロー出しハイ受け
「ロー出しハイ受け」とは、出力側のインピーダンスを低くし、受け側の入力インピーダンスを高くすることを指します。エレキギターはハイインピーダンスなので、受け側はそれに対応できるようにしなければいけません。
オーディオインターフェイスを持っている方であれば、実際に確認していただきたいのですが、Hi-ZまたはInstというスイッチがありませんか?中には、エレキギターやベースを繋ぐ専用のジャックしかないものもありますが、コンボジャック型になっていてマイクケーブルとギターシールドどちらも接続できるタイプのところに、何もせずそのまま接続すると高域が落ちた音になってしまいます。「あれ、何かおかしいな?」というときは、一度正しい設定になっているか確認しましょう。
ノイズを減らすには
配線を見直す、電源を変える
ノイズが発生する原因は様々なところに存在します。たとえば、コンセント、PC本体、電源タップ、電源タップに一緒に繋がっている家電や機材、ギター本体やギターシールド……など、もしかしたらギターを歪ませすぎということなのかもしれませんが…。
自宅でノイズを完全に無くすのは難しいですが、減らすことは可能です。まずは、ノイズの原因が何なのか突き止めることが大切です。ギター本体やシールドをチェックしてみて、他のギターやシールドがあればそれを試してみる。オーディオインターフェイスの電源や、エフェクターを繋いでいるのであればその電源を一度直接壁のコンセントに挿してみる、タップにスマホの充電器などが繋がっているのであれば一度それをはずしてみる…など、タップ自体が原因なのかそれとも他のものが原因なのか、まずはそれらを確認しましょう。
ノイズゲートを使う
後はノイズゲートを使うという方法があります。正しいセッティングで使えば原音に影響を与えることなく、ノイズを抑えることができます。ノイズの原因を解決してもノイズが無くならないというときは、ノイズゲートを用いるのも一つの手でしょう。
工夫次第で無限のバリエーション
DTMでのギター録音について紹介しました。スタジオに置いてあるギターアンプの音作りや出音と、PC上でのギターアンプは少し違いがあり、最初はいい音が作れないかもしれません。しかし、何度も使って音作りをしていけば、きっと理想のサウンドを表現できると思います。
ギターアンプに立てるマイクのマイキングもそうですが、ちょっとした工夫で素晴らしいサウンドに出会えることがあると思います。音楽に決まりはないので、自由な発想で楽しみながらDTMでのギター録音に挑戦してみてください。