「モニタースピーカーってなに?」「どうしても必要なの?」「アクティブスピーカー、パッシブスピーカーの違いは?」…など、DTMモニタースピーカーについて、さまざまな疑問にお答えします。定番のモニタースピーカーやインシュレーターについても紹介しています。自分の環境に合わせたモニタースピーカーを見つけましょう!
モニタースピーカーとは?
有限会社フラクタル・デザイン ライター&エンジニア
中村太樹さん
モニタースピーカーとは、原音に忠実な音を再生できるスピーカーのことです。そこには、心地よさや、ズンズン来る低音などは必要なく、なるべく癖のないフラットな音が求められます。ギターの音作り、リバーブ感、音量バランス……など、色の強いスピーカーで調整してしまうと癖のあるサウンドになってしまうことがあります。
制作途中はバッチリなサウンドだったとしても、いざ他の環境で聴いたら低音が少ないペラペラなサウンドだった……、みたいなことが起こりえるので、スピーカーはなるべく音色的な色付けの少ないものを選びましょう。
モニタースピーカーが必要な理由
色々な環境で聴いてバランスを確かめるために
「自宅でそんな大きな音は出せないから……」と思っている方も少なくないと思います。ですが、1つのヘッドホンで最初から最後まで音楽制作を完結させると、他の環境聴いたときに「あれ?自宅ではよかったのに……」ということに陥ることがあります。
人は同じ環境で音を聴き続けると、その環境の音に慣れてしまうという特性があります。電車の音はかなり大きいはずなに乗ってしまうと気にならなかったり、ライブハウスの音が最初はうるさく感じたのに最終的には平気になったり……など。音楽制作においていつもフレッシュな耳を保つことはとても重要です。
家で音を常に出すことが難しい人はヘッドホンをメインに使い、確認や作業途中の気分転換、耳のリフレッシュも兼ねて、モニタースピーカーを使ってみるというのはいかがでしょうか?
他にも空間が把握しやすい、ヘッドホンより音像が大きく音場も広く感じやすいので、それぞれの楽器を把握しやすい……などいくつか必要な理由はあります。色々なことを試してみて、自分の環境やスタイルに合った音楽制作方法を見つけてみてください。
モニタースピーカー設置の基本
スピーカーは部屋の広さ、壁の素材、スピーカーの設置位置……など、出音が外部の環境に大きく左右されます。まず一番大事なことは全体域が均一に再生されているかです。壁との距離や土台、周りに置いてあるものによって、どこかの帯域がブーストされてしまうことがあります。
壁から離してみる、窓が近くにあったらカーテンを閉めてみる…などのことでそれらが解消できたり、スピーカースタンドを使う、インシュレーターというスピーカーの振動を抑えるものを用いることで、より音像がクリアになったりします。インシュレーターを4つ角に配置したり、3つで三角形に配置したり、スピーカーの間隔を広げたり、高さを変えてみたり……など、部屋ごとにベストな設置方法が違います。
こればかりは試行錯誤の繰り返しになりますが、ある程度基準はあるのでまずはそこから始めてみて、自分の環境にベストな配置を見つけてみてください。
モニタースピーカーを購入する前に気を付けたい4つのこと
パッシブかアクティブか
まず1つ目は、パッシブスピーカーかアクティブスピーカーかということです。スピーカーには、アンプが別途必要なパッシブスピーカーと、アンプを内蔵したアクティブスピーカーというものがあります。最近ではアクティブスピーカーが主流なので、「間違ってパッシブスピーカーを買ってしまった…」ということは少ないと思いますが、パッシブスピーカーだけでは音が出ないので注意が必要です。
環境や用途にあったサイズか
2つ目は、サイズです。基本的なスピーカーは中域以上を再生する「ツイーター」と、中域以下を再生する「ウーファー」、2つのユニットによって構成されています。そしてそのウーファーのサイズが大きくなればなるほど、スピーカー全体のサイズも大きくなります。
サイズが大きくなると幅広いレンジの再生ができるのですが、あまりにも大きすぎるとそれに適した音量を出力しない場合、パフォーマンスを発揮できないことがあります。普通のDTM環境であれば5インチ前後の大きさで十分なので、設置スペースも考慮して自分の環境に合ったスピーカーを選択しましょう。
音の入力方法と端子の規格
3つ目は、音の入力方法です。オーディオインターフェイスを持っていれば、XLRまたはTRSフォンという規格のケーブルを用いて接続することが可能ですが、持っていない場合は接続することすらできない可能性があります。そもそも、PCからの出力をスピーカーに送る環境があるかどうかチェックしておきましょう。
ペア商品なのか単体商品なのか
4つ目は商品のパッケージとしてペアのものなのか単体のものなのかチェックしてから購入したい、ということです。どのモニタースピーカーにするか決めた後、購入時の注意点です。スピーカーは2本ペアで使うことが一般的ですが、片方が故障したときに1本単位で購入できるようセットで販売してないものがあります。
おすすめのモニタースピーカー
JBL 305P MkII パワードモニタースピーカー 2本セット
305P MkII は広いリスニングポイントとモニタースピーカーに適したフラットな音が特徴です。ニアフィールドモニターと呼ばれる、スウィートスポットが狭いスピーカーの弱点を補った構造になっていて、横に動いたり、ちょっと立って機材を操作した時にでも出音のバランスが崩れることなくモニタリングすることが可能です。だからと言ってセンターが曖昧になったりすることはなく、音場の奥行きや音像を的確に把握できます。
JBL
305P MkII パワードモニタースピーカー 2本セット
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33,920
円
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YAMAHA パワードスタジオモニター HS5(ペア)
レコーディングスタジオで長年使用されているNS-10Mを彷彿させるようなビジュアルのモニタースピーカー、HS5。NS-10Mはパッシブスピーカーだったのに対し、HS5はアクティブスピーカーになっているため別途アンプを用意する必要はありません。コントロールルームスイッチやハイトリムなど、出音の周波数を調整する機能が搭載されているので、部屋の環境に適したサウンドにチューニングしやすいモデルになっています。
YAMAHA
パワードスタジオモニター HS5(ペア)
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円
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IK Multimedia iLoud Micro Monitor コンパクト・リファレンス・モニター【国内正規品】
世界最小クラスのモニタースピーカー、iLoud Micro Monitor。小さいのに低域から高域までしっかりと再生し、自宅などの小規模スペースではかなりのパフォーマンスを発揮します。デスクのスペースを十分に取れない方や、持ち運びを想定している方にピッタリなモニタースピーカーです。
IK Multimedia
iLoud Micro Monitor コンパクト・リファレンス・モニター
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FOSTEX プロフェッショナル・スタジオ・ モニタースピーカー PM0.5n(MB)
黄色い星型のウーファーを持つモニタースピーカーで有名なFOSTEXのモニタースピーカー、PM0.5n。パワーアンプ内蔵、バスレフ方式という低音の増強を目的とした構造を採用しているモデルです。バランスのいいモニタースピーカーになっています。
土台環境にこだわるなら!インシュレーター
Insulator(インシュレーター)とは、スピーカーから生じた振動が他のものに伝わり、反対側のスピーカーや元のスピーカーの音に干渉し、音が濁るのを防ぐためのものです。効果としては音がクリアまたはシャープになったりします。スピーカーの底面に設置して使うインシュレーターですが、素材や形状によって効果が変わってきます。
素材は、金属、木材、ゴム、樹脂……などがあり、金属ならクリアで華やかな音、木材なら温かみがあり奥行きのある音、ゴムなら柔らかい音…という感じに効果を発揮します。形状もスパイクタイプ、キューブタイプ、円形タイプ……などいろいろな種類があり、振動を抑える目的であればスパイクタイプ、振動を上手く調整したいならキューブタイプを使う…など目的によって素材と形状を選択するといいでしょう。
オヤイデ 小型ステンレススパイク (4個1組) φ20mm H9.9mm INS-US
スパイクタイプの定番インシュレーター、INS-US。クリアで締まりのあるサウンドを目指すならまずはこれを試してみるといいでしょう。4個で1セットになっているので、ステレオで使う場合2セット購入する必要があります。インシュレーターの配置の仕方も何種類かあるのでベストな位置を見つけてみてください。
オヤイデ
小型ステンレススパイク (4個1組) φ20mm H9.9mm INS-US
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audio-technica ハイブリツドインシユレーター AT6098
インシュレーターの定番人気モデル、AT6099。真鍮を耐震ゴムのハネナイトで挟んである3層構造のインシュレーター。クリアでシャープなサウンドになるとともに温かみも損なわれないバランスの取れたモデル。スピーカーの音は土台にも影響されるため、インシュレーターだけではなく他の要因も考慮してみると理想のサウンドに近づくことがあるかもしれません。
audio-technica
ハイブリツドインシユレーター
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5,380
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DTMで使うモニタースピーカーについて紹介しました。スピーカーはヘッドホンと違い周りの環境にかなり影響を受けやすいので、「店頭ではいい音だったのに家で聴いたらいまいち……」ということが起こるかもしれません。そうなった場合、壁から少し離してみるとか、インシュレーターを使ってみるとか、いろいろ工夫をして最高のモニター環境を整えてみてください。
左右のスピーカーの間隔や聴く人までの距離、角度によっても聴こえ方は異なるので、メジャーを使い長さを測ったり、角度もちゃんと調節することが大切です。