イタリアワインの王様バローロは、イタリア北部ピエモンテ州で造られる伝統的な赤ワインの銘柄です。ここではバローロと、同じピエモンテ州の赤ワイン・バルバレスコの特徴とおすすめをご紹介します。
バローロの基本情報
ここでは、イタリアンワインの基本情報についてご紹介します。イタリアの高級ワインである「バローロ」についてや、ワインの女王と言われる「バルバレスコ」についてと両社の違いをそれぞれわかりやすく解説しているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
日本ソムリエ協会 ワインエキスパート
水木 明さん
バローロとは
バローロは「ワインの王様」と言われる、イタリアの偉大な格付け高級ワイン。
バローロの品種ネッビオーロは、酸とタンニン(渋み)が強いブドウです。長期熟成させることで、透明感のある果実味とエレガントな酸、余韻が長い偉大なワインになります。
バルバレスコとは
バルバレスコは「ワインの女王」「バローロの弟」と言われる格付け高級ワインです。バローロより熟成規定が短くなっています。
バローロとバルバレスコとの違い
バローロの方が骨格がしっかりとしています。バルバレスコは、よりエレガントでタンニン(渋み)や酸味が柔らかく、早く熟成するとも言われます。
ですが、畑の個性や醸造方法の方が、味わいへの影響は大きいです。大樽熟成かバリック(小樽)熟成かの違いもあります。生産者がバローロで表現したい酒質、バルバレスコで表現したい酒質とはっきり分けて造ることも多いので、銘柄ごとの特徴を参考に選ばれるといいでしょう。
品種と産地
ここでは、イタリアンワインの「品種と産地」についてご紹介します。イタリアンワインの品種であるネッビオーロの特徴や味わいについてや、産地についても触れています。イタリアンワインをより楽しむためにも、ぜひこちらを参考にして、理解を深めてみてください。
品種の特徴と味わい
品種はネッビオーロ。ネッビア(霧)が語源の一説です。霧がかかる頃に収穫される晩熟型の品種で、小粒で皮と種の占める割合が多く、しっかりしたタンニン(渋み)のあるワインになります。ポリフェノールも多い品種です。活性酸素消去能(SOSA)、抗酸化作用も高いです。
赤い花のドライフラワーやラズベリー、クランベリーやチェリーなどの優しく柔らかい香り、甘草(リコリス)のような甘いニュアンスがあります。エレガントなしっかりした酸と奥行きを感じさせるタンニンがあり、余韻が長いです。
熟成を経て出荷されるため、ワインの色調が淡く、旨味が多い「薄旨」なワインです。キノコや出汁がきいた和食、鰻の蒲焼きのようなこってりした料理にもタンニンが脂身を流し、旨味を引き出してくれます。
産地
ピエモンテ州の南、クーネオ県の中の、世界遺産で美しいブドウ畑が広がるランゲ地方にDOCGバローロ、DOCGバルバレスコがあります。銘柄名であるとともにエリア名です。
醸造方法
ここでは、イタリアンワインの醸造方法についてご紹介します。熟成期間移管する「ワインの規定」についてや、醸造方法の違う「伝統派とモダン」について、モダンな醸造方法の「バローロ・ボーイズ」についても深堀りしています。気になる方はぜひチェックしてみてください。
ワインの規定
熟成期間が定められ、収穫年の翌年1月1日より3年間(うち木樽熟成2年)で、上のクラスのリゼルヴァは5年間熟成させないと名乗れません。アルコール度数は13%以上です。
伝統派とモダン
ワインショップやレストランで、醸造方法の違いで、伝統派とモダンに分けて説明する場合もあります。
伝統的な造りは、複数の畑をブレンドし大樽で長期熟成させるタイプです。モダン派はバリックと言われる小樽で短期間熟成させ、若いうちに飲めるフルーティーで渋みの少ないタイプとなっています。
バローロ・ボーイズ
モダンな醸造方法は、バローロ・ボーイズと呼ばれた当時の若手生産者エリオ・アルターレ、ドメニコ・クレリコ、パオロ・スカヴィーノたちによって進められました。
1970年代、ブルゴーニュに修行に行った彼らは新樽(バリック)を使っているにもかかわらず、ヴァニラのような樽の香りを感じさせず、果実味があり酸がきれいな仕上がりで、若いうちに飲んでもおいしいワインに衝撃を受けました。バローロにもこのモダンな手法を取り入れようとします。
クラシックなバローロを守ってきた親の世代と対立しますが、モダンな造りを取り入れることにより、海外からの評価が上がり、高値で取り引きされるようになりました。近年は両者の良いところを取り入れた中間派も多くなっています。
バローロの当たり年
1989年、1990年、1995年、1996年、1997年、1998年、1999年、2000年、2001年、2004年、2007年、2009年、2010年です。2011年~2014年は悪天候が続きました。2013年はやや良い年です。
伝統的な造りの生産者は、寝かせて20~30年以上熟成します。モダン・バローロは20年程度が果実味もしっかりとして、タンニンもまろやかでおすすめです。
入手しやすいバローロのおすすめ商品
イオンリカーで取り扱いがあります。ボジオ社が所有しているワイナリーです。
リュット・レゾネ(減農薬農法)で栽培。ラズベリーやイチゴのような香り、スパイシーさもあり、タンニンがしなやかです。希望小売価格6000円ですが、セールなどで4000円位で買えることもあります。
アンティコ・モナステロ バローロ
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6,000
円
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メジャーなバローロ、バルバレスコのおすすめ5選
ここでは、メジャーなバローロ、バルバレスコのおすすめアイテムをご紹介します。モダンでエレガントなバローロである「チェレット バローロ」、バローロ・クラシコと呼ばれる「フォンタナフレッダ バローロ」などそれぞれの歴史や味わいを解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
チェレット バローロ
バローロ、バルバレスコの世界的なブランドで代表的生産者チェレット。1930年代、リッカルド・チェレットがアルバ地区に醸造所を造り、1960年代から息子ブルーノとマルチェッロ兄弟が3代目の当主に。チェレット兄弟の代から自社で瓶詰めをはじめ、良い畑をたくさん買い、規模を拡大しました。
「最上の畑で、最上の酒をつくる」がポリシー。大きな醸造所ではなく、銘醸畑のエリアごとに醸造所をおいています。
最上級の畑はバローロは「ブリッコ・ロッケ」、バルバレスコは「ブリッコ・アジリ」。ちなみにブリッコ(bricco)は、北イタリアの言葉で、険しい山、岩山の意味です。
こちらはスタンダードなバローロ。モダンでエレガント、力強さと繊細さのバランスの良い味わいです。
チェレット バローロ
参考価格:
15,675
円
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フォンタナフレッダ バローロ
フォンタナフレッダは、初代イタリア国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世が所有していた土地を譲り受け、息子エマヌエーレ・アルベルト・ミラフィオーレ伯爵がワイナリーを設立した老舗です。小作農制度を廃止し、ブドウ畑を美しく改良、バローロを世界的なワインにする偉大な功績を残しました。
このスタンダードな銘柄は、バローロ・クラシコと呼ばれる大樽熟成、複数畑のブレンドです。凝縮感のあるモダンタイプではなく、透明感のある果実味、旨味のある奥ゆかしい味わいです。
フォンタナフレッダ バローロ
参考価格:
4,180
円
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プルノット バローロ
100年以上続く老舗ワイナリー、プルノット。1990年代からトスカーナ州の名門アンティノリ家が運営するようになりました。バローロで最高峰の銘醸畑「ブッシア」など畑を買い増し、自社畑を多く持ちます。
「バローロ・ブッシア」は単一畑のブドウのみで造られ、伝説的な土地を表現した最高級の有名なワインです。
こちらのスタンダードなバローロは、契約農家のブドウでフランス産のオークの大樽で熟成しています。オーソドックスで伝統的な味わいのバローロです。
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ガヤ バルバレスコ
イタリアワインの帝王ガヤ。アメリカ、ナパの高級ワイナリーのような世界的なブランド力のある造り手です。アンジェロ・ガヤは、バリック(小樽)での熟成を最初に取り入れた革新的な生産者です。「ソリ・サン・ロレンツォ」「ソリ・ティルディン」「コスタ・ルッシ」はバルバレスコの単一区画のみのブドウで造られた畑の個性が味わえる人気の最高級シリーズ。
こちらのバルバレスコは、ガヤのフラッグシップなワイン。14の畑を別々に醸してブレンドしています。
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ラ・スピネッタ バルバレスコ・ボルディーニ
1977年アスティ県カスタニョーレ・ランツェに設立。1970年代後半にリリースした甘口白ワインのモスカート・ダスティ「ブリッコ・クワリア」「ビアンコ・スピーノ」の2銘柄がイタリアで初めて単一畑のモスカートとして話題を呼び、有名になりました。
アンジェロ・ガヤの後継者とも言われる醸造家ジョルジョ・リヴェッティが手がけます。バルバレスコはすべて動物のサイがラベルに描かれ、畑名が入っていて、最高峰は「ヴィニェート・スタルデリ」。バローロはライオンのラベルです。
入門編はエレガントなバルバレスコの「ボルディーニ」、バローロは「ガレッティ」です。
ラ・スピネッタ バルバレスコ・ボルディーニ
参考価格:
10,113
円
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王道で伝統的なバローロのおすすめ2選
ここでは、王道で伝統的なバローロのおすすめ商品をご紹介します。長期熟成タイプで通好みの「ジャコモ・コンテルノ バローロ・カシーナ・フランチャ」、4つの畑のブドウをブレンドした「バルトーロ・マスカレッロ バローロ」、それぞれの特徴や味わいを掲載してします。
ジャコモ・コンテルノ バローロ・カシーナ・フランチャ
伝統的バローロの頂点に位置する生産者。ガヤをはじめイタリアを代表する生産者が「バローロ最高の造り手」とあがめています。
20年以上寝かせるのが理想な長期熟成タイプで、通好みの味わいです。
ジャコモ・コンテルノ バローロ・カシーナ・フランチャ
参考価格:
38,800
円
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バルトーロ・マスカレッロ バローロ
4つの畑のブドウをブレンドし、大樽で36か月間長期熟成させる伝統的な造り手です。現在はバルトーロ・マスカレッロの娘のマリア・テレーザが醸造をしています。
バラのドライな花びらやチェリー、ラズベリーなど赤い果実の香り、柔らかく優雅な酸と余韻があります。
バルトーロ・マスカレッロ バローロ
参考価格:
40,000
円
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モダンなバローロ、バルバレスコのおすすめ3選
ここでは、モダンな手法で有名になった生産者をご紹介します。モダンとはっきり分けられたのは1990年代までで、現在は大樽もバリック(小樽)も使う生産者が多いです。バローロ・ボーイズの中心的存在である「エリオ・アルターレ バローロ」、比較的おうちのみでも手に取りやすい価格が魅力の「パルッソ バローロ」などピックアップしています。
エリオ・アルターレ バローロ
バローロ・ボーイズの中心的存在、エリオ・アルターレ。醸しを短期間で行い、ロータリー・ファーメンター(回転式発酵タンク)とバリック(小樽)を使うモダンな造りです。回転式発酵タンクは、ブドウの種のタンニン、えぐみをあまり抽出しないで、果実味と柔らかいタンニンを引き出すことができます。
まろやかなタンニンで、ワインが若いうちから飲みやすく熟成もします。ワインセラーで寝かせる場合、伝統派より早く熟成します。
エリオ・アルターレ バローロ
参考価格:
20,680
円
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amazon.co.jp:2024年11月21日 00:16時点
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パルッソ バローロ
1990年代はバローロ・ボーイズのメンバーでモダンな造りをしていましたが、2000年代に伝統的な造りに戻った生産者です。複数の畑をブレンド、収穫したブドウを部屋で休ませてから発酵させるという独特のスタイルをとっています。
エレガントで滋味のある味わいです。価格は6000円台で、とっておきの食事やご褒美に飲むのにおすすめです。
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アゼリア バローロ
伝統的な家族経営のワイナリーで、バローロ・ボーイズのパオロ・スカヴィーノの本家筋がアゼリアです。現当主は4代目に当たるルイージ・スカヴィーノ。スカヴィーノ家伝統の銘醸畑「ブリッコ・フィアスコ」を所有。平均樹齢は65年と古木が多いです。
畑の個性を出せるように、バリック(小樽)、大樽を使い分け、ワインごとに異なる醸造をします。バローロは6つの畑をブレンド。花の香りがきれいで、しっかりした骨格と果実味のバランスも良いです。5000円台で購入できてコスパが高いです。
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まとめ
バローロ、バルバレスコの特徴とおすすめをご紹介しました。
ネットショップで3000円台のバローロもありますが、5000円台からが正真正銘なきちんとした造りです。「バローロ」とだけ表記されているのがスタンダードなクラス、畑名も書かれているのが上級で伝統的な畑の格上ワインです。バルバレスコも同様です。
3000円台や、それ以下の価格で探すなら「バローロ」ではなく、今回ご紹介したような評価の高い生産者のDOCランゲ・ネッビオーロ、DOCネッビオーロ・ダルバなど、ネッビオーロと書かれているワインがおすすめです。