二眼レフはルックスも写真も全てが「おしゃれクラシカル」。120ブローニーフィルムを使った正方形の写真が感性を解き放ちます。二眼だからこその世界、ぜひのぞいて見ませんか?
フィルムカメラとは
フォトグラファー
JOHN CHEESEBURGER
撮ったらすぐに写真をデジタル画像として見れるご時世、もはやカメラにフィルムが必要だったことを知らない世代も多くなってきた昨今ではありますが、かつてのフィルムカメラの人気が再燃の兆し。
フィルムカメラにも様々なものがありますが、今回は、そのレトロクラシカルな佇まいと上下二つの目(レンズ)を備えたルックスが「超かわいい〜♡」とカメラ女子の心を鷲掴みにする「二眼レフ」をフューチャー。本題に入る前に、まずはフィルムカメラとはどういったものかということを簡単に説明します。
最も異なるのは撮った後
デジタルしか知らない世代には意外かもしれませんが、デジタルもフィルムもシャッターを切るまでの論理的な仕組みはほぼ一緒です。シャッターを切った瞬間に、レンズを通って入ってきた風景や人物の像(=光)をキャッチする場所がフィルムからセンサーという電子部品に進化したのがデジタルカメラです。デジタルは光を電気信号に変えますが、フィルムは光に触れた瞬間に化学反応が発生し、そこに像が写されます。
最大の相違点は、実際に写真を見ることができるまでの時間とプロセス。撮影直後にボタン操作一つですぐに写真を見ることができるデジタルと違い、フィルムは「現像」という化学処理を行わなければならず、それが済んだら今度は印画紙という紙に焼き込んで(=プリント)はじめて見ることができるのです。
現像こそが醍醐味
しかしこの現像こそがフィルムカメラを楽しむ醍醐味。二眼レフのようなクラシックカメラの場合、電気を一切使わずにアナログな手法で撮影された写真がどのようになって出てくるのかを想像し、待っている間が一番ワクワクします。
そして手に取ったものは「画像」でなく正真正銘の「写真」。しかもその色彩表現、写真そのものが持つ温かさは生半可なデジタルカメラでは再現不可能なのです。
確かにデジタル写真は綺麗です。しかしどのカメラを使っても"安定"の仕上がり。フィルムカメラ、特にドイツの著名な二眼レフ「ローライ」やスウェーデンの「ハッセルブラッド」のように数十年に渡り職人の手により作り続けられてきた逸品は、時代ごとに、そして歴史を刻んできたレンズによってもそれぞれの個性があり、また、それは使用するフィルムによっても変化を楽しむことができます。
デジタルは、SDカードのメーカーを変えたからといって写真の風合いなどが変わるわけではありませんからね。
経年変化を楽しむ
Santa Monica Blvd (Los Angeles/1992) Rollei35 使用
形ある物いつかは…というたとえの通り、電流さえあれば不変のデジタル画像と違い、フィルムで撮られプリントされた写真は、時の流れと共に朽ちてゆきます。画面の中の像としてでなく、物体として写真を楽しみ、そして残していく。そんなところも若い人には新鮮で、フィルムカメラが再び注目される所以ではないでしょうか。
デジタルで撮ったものをプリンターで写真専用紙に刷れば同じではないか?との意見も聞こえてきそうですが、まず根本が違います。DPEプリントされるものは紙の質も違いますし、印刷のされ方も自宅のプリンターとは異なります。しかも、使われた道具は歴史を歩んできたレンズとカメラによるもの。そこにはロマンさえも刻み込まれているのです。
中古カメラはピンキリ
と、そんな人気がジワジワと来ているフィルムカメラですが、とりわけ今のカメラにはない独特なフォルムを持つ二眼レフなどは、そのレトロクラシカルな風貌と本体上部をのぞき込むようにして撮る撮り方も合間って人気急上昇。中古市場でも人気に比例して値が上がってきています。
何しろクラシックカメラは今から40~50年前、果ては70年も前に作られたようなものが売られているわけですから、状態も価格もピンキリです。一番の理想は状態が良くて安いものですが、そんな都合の良いものは無い、と思いきゃ、あるのですよ。そういうの。意外と。
ただし見つけた者勝ちです。街の中古カメラ屋さんを見つけて足繁く通うか、もしくはネットでの出物を頻繁にチェックすることが肝要ですが、一番のおすすめは前者。やはり店頭で自分の目と店主のアドバイスで確かめることです。
フィルムカメラの種類
フィルムのカメラってどんなものがあるのでしょう?
代表的なものだけご紹介します。
一眼レフ
カメラの代名詞的存在で、100年以上の歴史を持ちます。カメラ本体にレフ(ミラー)構造を持つためにこの名前が付いているのですが、この構造のおかげでレンズから入って来た景色そのままが写真になるので、直感的な構図作りを行うことができます。
フィルムカメラ初心者にも人気です。
二眼レフ
レンズが上下に二つついていることからこの名前が。130年以上もの歴史を持つカメラで、ファインダーというより上部の「開口部」から覗き込むようにして、左右逆転した像を見ながらフレーミングするというもの。扱いに慣れを要するカメラですが、120ブローニーというフィルムを使用した正方形の写真の仕上がりはクセになるというか、おしゃれの一言。
クラシカルでキュートなルックスが人物撮影の時に被写体の緊張感を和らげることから、特にポートレートに向いています。中古市場でも常に人気です。
ビューカメラ
いくらクラシックカメラがブームとはいえ、ビューカメラはデカ過ぎて持って歩けません。いわゆる大昔のカメラに見る蛇腹付きのそれで、建築物や大きな広告を撮る際に多用されてきました。しかし今や建築写真に必要な特殊効果なども簡単にデジタル処理できるので、もはや過去のカメラ遺産に。
レンジファインダー
レンズとファインダーが完全に独立した形態のカメラで、コンパクトなサイズが特徴。一眼レフや二眼レフのようにファインダーに見えるそのものが写真になるというものではなく、ファインダーの中に"この範囲が写りますよ"な指標が表示される場合を除き、ほぼほぼ"感覚"で撮るカメラ。ある意味直感的に写真が撮れるので、スナップ撮影に適したカメラです。瞬発的に何かを感じる人に向いています。
インスタントカメラ
薬品が貼付された感光紙の入ったフィルムカートリッジを挿入し、撮った直後に感光紙が排出され、数十秒経つとそこに写真が現れるという、理念としてはまさにデジカメの原点のようなカメラ。チェキが有名ですが、黎明期を築いた「ポラロイド」こそ真のインスタントカメラなのであります。
レンズ付きフィルム
「写ルンです」に代表されるように、フィルムを主体とした筐体に豆粒みたいなレンズと簡易ストロボが付いていて、そのまま現像に出して「使い捨てる」カメラ。使い捨てといっても、ちゃんと分解してリサイクルされています。
全盛期ほどでないにせよ観光地などではお約束のように売られていて、しかも最近街中で女子高生が使っているのをたまに見かけます。察するに、現像して写真という「現物」を手にすることがデジタル世代には新鮮なのかも。プリクラも手にとって楽しめるシールですしね。
二眼レフカメラの魅力
ロマンティック
「歴史はロマン」と言いますが、50年、いや、古くは70~80年前に作られたものが今も、フィルムさえ入れれば同じレンズ同じシャッターが動いて2018年の風景や人を撮るわけですから、時を超えた道具…なんともロマンティックじゃありませんか。
上蓋を開けてファインダーを覗き込めば、そこには6cm×6cmの正方形の「タイムマシン」が。よく映画のワンシーンでこのカメラが小道具として出て来ますが、クラシカルなタキシードでビシッとキメた中年男性が革手袋はめてこのカメラを覗き込むシーン、なんの映画かは忘れましたが、その所作に憧れを覚えた人も多いのではないでしょうか。
ポートレート向き
一眼レフも特にプロ用のものなど口径の大きいレンズで人物を撮っていると、撮られる側はカメラに対してなかなかの威圧感を感じるそうです。
その点、二眼レフのこの愛嬌ある顔を向けられて威圧を感じる人はまずいないでしょう。むしろ「何それ、おしゃれ~!」と賞賛を受けるはずです。
ウエストレベルファインダーと言って、カメラを腰のあたりに構えて上から覗き込むようにして撮影するカメラなので、人物を撮る際に被写体に"撮られてる感"を感じさせずに、自然な姿を捉えることができるのも二眼レフがポートレートに好まれる所以です。
そして何よりも、
二眼レフカメラの選び方
価格
中古の価格はピンキリです。二眼はローライなどの人気機種ともなれば状態如何のみならず、作られた年代や搭載するレンズなどによって数万から数十万のひらきがあります。状態と価格は比例しているので一つの目安になりますね。
事前にネットで目的の商品がどのくらいの相場かを調べるのがベスト。店頭でビビビッと来たカメラがあってもそこで即決はせず、一通り状態等の説明を受けた後、検討の時間を置くことが大事です。
一旦表に出てスマホやPCでネットにアクセスし、その店の値段が相場に合致しているかなどを調べましょう。状態による相場よりもやたら安い場合は何かしらの問題を抱えている恐れがあるので、店主に再度相談です。
粘り強く探すか、一発のフィーリングで衝動買いするか、そのあたりは人好き好きですね。
年代と状態
安いものでも良いものは多々ありますが、例えば撮影レンズに付いたカビや曇りが写りに支障無いレベルであっても、フィルムの巻き送りに支障があったり、下段の撮影レンズが綺麗でも上段のビューレンズ(ファインダーレンズ)がやたら曇っていてフレーミングに支障があったりと、とにかく古いものですから何かと支障はあるものです。パーフェクトなものはないと考えておいてください。
もしあったらそれは相当高価なはずです。クラシックカメラを使うということは、そんな時の流れと共に朽ちゆきたダメージをも甘受しながら楽しむというのもまた一興なのです。
保管の良し悪しもありますが、1950~60年代のレンズは今のハイテクコーティングされたガラスとは違い、非常にガラス表面が柔らかいので拭き傷が付きやすく、逆に綺麗にレンズを保とうとする行為が細かな傷を増やしていたりもします。
その細かい傷からレンズ内部に侵入したカビなどは、研磨で解決する表面のカビと違い除去不能だったりもします。要は店主にアドバイスを受けるか、ネット購入の場合は出品者とメールなどを通じてしっかりとコミュニケーションを取りましょう。
レンズの弱点以外にもシャッターに関する問題もしばしばあります。特に低速でシャッターを切る際には、粘りが出るなどと言った問題が見受けられます。
ただ、中古の二眼を探していた経験上、ほとんどが手持ち撮影する分には影響のない範囲での低速シャッター不具合が見られるので、そう神経質になる必要もないといえばないのですが…。こういったことはネットショッピングでは出品者の誠意に頼るほかないので、サイトのページを鵜呑みにせず、しっかりとメールなどで確認することが肝要です。
ネットで購入し、販売ページの表記には無かった問題が生じたからといって途方にくれる必要はありません。中古カメラ屋さんに持参し、フィルムを買いがてら使い方や状態を尋ねてみれば、意外とフランクに教えてくれるものです。
中古カメラ屋さんの殆どは「マニアックな人々」で、今やマイノリティーとなったフィルムカメラユーザーとの交流は歓迎の"はず"です。
著名な二眼レフメーカー
Rollei
二眼レフと言えばローライ、ローライと言えば二眼レフというほど二眼レフの代名詞的存在。ドイツの名門「ツァイス」製のレンズが表現する、一言で「美しい」としか言いようのない写真は、1950年代初頭から多くのフォトグラファーの支持を受け、カメラを愛する世界中の人たちから「二眼レフの憧れ」として君臨し、日本でもローライをリスペクトした、というかコピーしたような商品が沢山販売されました。
「Rollei Flex」シリーズが有名ですが、同時期に廉価版として販売された「Rollei Cord」も人気を博し、廉価版というよりも報道関係が好んで使ったという独自の地位を築き、現在も中古市場で人気を博しています。状態によってはFlex越えもしばしば。
MINOLTA(現SONY)
日本で初めて二眼レフを製作したのがこのミノルタ。戦前に発売するも戦争の混乱期を経て戦後の1950年、実に今から70年近くも前にミノルタフレックスIIを発売し、二眼レフに於ける日本の底力を世界に見せつけました。
以降も改良に改良を重ね、1965年まで唯一ローライに対抗できる高級国産二眼レフを数多く輩出してきました。中古カメラ屋さんでも50年代中盤のものが、「中程度」の状態で3万円ほどで買えるなど、手が出しやすい価格も魅力。
RICOH
日本では戦後間もない1940年代後半から50年代にかけて二眼レフブームが起こり、その牽引役を果たしたのがリコーが製作した「RICOHFLEX」。本家ローライよりも割安で売り出したことにより著名なカメラ店前に行列まで作らせたという逸話も。
後期には太陽電池の一種であるセレン電池式の露出計まで内蔵したモデルを出すものの、ブームの衰退とともに二眼レフ作りを終了し、日本での二眼レフムーブメントはリコーに始まりリコーに終わった、とまで言わしめたほどよく売れたそうです。
Mamiya
発明家の間宮精一が戦後に興したカメラメーカー「Mamiya」。多くの中判カメラを中心とした名機を生み出してきましたが、二眼レフでは本家ローライも含めた国内外各メーカーにおいて唯一レンズ交換が可能な「マミヤCシリーズ」で一世を風靡。
比較的新時代の中を生きてきた二眼レフなので、現代のカメラにも相通ずるものがあります。結構最近の1994年まで作られていて、「国産最後の二眼レフ」としても知られています。
Yashica
戦後に多くの人気機種を輩出した「ヤシカ」ですが、二眼レフに関してはこと「ローライ」をリスペクトしていた様子で、そのほとんどがローライコピーと揶揄され、本家から訴えられたことも。しかしその後の建て直しが見事で、二眼はともかくレンジファインダーや一眼レフでの功績があの「ツァイス」に認められ、70年代には共同で「ヤシカ・コンタックス」を設立。
そのため、レンズの描写には定評があり、しかも1980年代まで二眼を売り続けていたので、後期のモデルともなれば搭載している露出計の精度は今もって実用レベル。
二眼レフの楽しみ方
二眼レフを楽しむ前に、まず「フィルム」のことをよく知らない人のために簡単に解説します。
フィルムとは
フィルムとは一言でいえば「写真を記録する場所」であり、デジタルしか知らない人にとってはSDカードのアナログ版といえばわかっていただけるでしょうか。SDカードのように〇〇GBで1200枚撮れるなどではなく、「24枚撮り」や「36枚撮り」と撮影可能な枚数が決まっています。
撮影後はフィルムに化学処理を施す「現像」というものを行い、その後に印画紙にプリントしますが、これらの工程は街のDPEショップ(写真現像店)で行ってくれます。
どんなシーンにも使えて便利なISO感度-400のフィルム(5本入り)
またフィルムには必ず「感度」というものがあり、ISO感度100の晴天時用やISO感度400の曇天時用、ISO感度1600の暗所用などに分かれていて、用途によって使い分けます。
デジタルではボタン一つで変更できますが、フィルムは途中で他の感度のフィルムに入れ替える場合、もし撮影可能枚数が余っていたらもったいないということになるので、この点あまり経済的とは言えないですね。
ネガとポジ
フィルムには「ポジ」と「ネガ」の二種類があり、一般的なのはネガですが、作品としての完成度を高めたい場合にはポジを用いてより高品質な現像処理を行ったりもします。
名称はポジティヴフィルムとネガティヴフィルムの略ですが、別に陽気な人向けと陰気な人向けという意味ではないので、いずれまたこの辺については説明します。とにかく一般的に売られているのは「ネガフィルム」なので、これのISO感度400あたりを購入しておけばまず間違いないです。
白黒フィルム
文字通り白黒で写真を撮るためのフィルムですが、実におしゃれな写真が撮れます。なぜ何の変哲もない裏路地でさえ白黒で撮るとこうもおしゃれになるのか、というくらい不思議な効果をもたらすフィルムです。
これはなぜか?私は、写真から色情報が抜け、白と黒のみの表現となっているので、構図の情報のみがシンプルに頭に入ってきて、右脳がその画から作者の意図を読み解こうとするからかっこよく感じるのではないかと思いますが、逆に言えば写真作りのセンスが問われるのも白黒フォトグラフィーであります。
白黒、一度ハマると抜け出せないくらい深くて面白いですよ!
データ化
長い歴史を刻んであなたの手元にやってきた二眼レフで撮った正方形のイカした写真、SNSで披露しない手はありません。特にその正方形というところがInstagramとの親和性はバッチリです。そのためにはスマホやパソコンで見れるように写真を「データ化」しなければなりません。データにさえなれば、あとはスマホのアプリで画質調整などもできますし、煮るも焼くも自由です。
データ化は現像したネガやプリントをスキャンして行うものですが、街のDPEショップのほとんどが行ってくれます。基本的には有料です。
自宅でもデータ化できる
DPE店でネガだけ現像してもらい、そのネガを自宅でスキャンしてデータ化する方法もあります。プリントはせずに主にスマホやパソコンの画面で写真を楽しみたいという人には毎回DPE店にデータ化料金を払うよりはエコノミーです。
ただし、世の中に多く出回っているフィルムスキャナーだと普通の35mmフィルムしかスキャンできないので、120ブローニーフィルムを使用する二眼レフオーナーにはそれに対応したものを選ばなければなりません。
CanoScan 9000F MarkII
このCanonの「9000F MarkII」は二眼レフで使う120ブローニーフィルムに対応したフィルムスキャナーなので、ローライやハッセルのオーナーさんは一台持っていて損はないかと思います。もちろん通常のスキャナーとしても使えます。
dpiは9600、そして何よりも22,890円(2018年9月現在)という価格もスペックを考えると魅力的です。元は簡単に取れるでしょう。
キヤノン フラットベッドスキャナ CanoScan9000F MarkII
参考価格:
55,500
円
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二眼レフの撮り方
フィルム装填の仕方
写真を正方形で撮ることになる二眼レフ。みなさんが知っている普通のフィルムとはちょっと違う、「120ブローニー」というフィルムを使用します。撮り方や操作方法はともかく、この掛け軸のようなフィルムの装填はミノルタを除いて皆同じなので、簡単に解説します。
1.カメラの蓋を開ける
裏蓋をガバッと開けたら、基本的にフィルムは下にセットし、直角に曲がり上部のリールで巻き取られることになります。
2.スプールを取り付ける
二眼レフは新しいフィルムを装填するたびに、その前に入れていたスプールというプラスティックの芯を上部のリールにセットし、そこに巻きつけていくことになります。なのでカメラを買って最初にフィルムを装填するときは芯だけの「空スプール」が必要となります。
スプールを上部に取り付けて、フィルムを巻きつけます。
3.フィルムのたわみを取る
フィルムを指で押さえ、たわみを取るために巻き取りノブを回します。
4.カメラの蓋を閉める
カメラの蓋を閉め、底部にあるフィルムカウント窓(通称赤窓)を開けます。
5.フィルムを送る
赤窓にフィルムの一枚目を示すカウント数字「1」が出てくるまでノブを巻いて送ります。ローライのような高級なマシンはフィルムがカウントするたびにロックがかかるのですが、安価なマシンだとフィルム送りが完全に目測なので、この赤い小窓のど真ん中に数字がくるよう、慎重に行わなければなりません。
あとはそれぞれのカメラの撮り方に従い、撮影を行います。
ファインダーの見方
二眼レフはファインダーの見方も独特。「ウエストレベルファインダー」といって、腰のあたりにカメラを構え、上から覗き込んで撮影するスタイル。
カメラの上蓋を開ける
ウエストレベルファインダーは、まずカメラの上蓋を開けます。そうすると中にファインダーが姿を現します。
ここに映し出される像は、二つのレンズのうち上段の「ビューレンズ」によって映し出すものですが、二眼レフは一眼レフのようなプリズムという反射柱を搭載していないシンプル設計なので、左右逆像で映し出され、それを見ながらの撮影となります。
ルーペを起こす
上蓋の内側にルーペが付いていて、これを起こすことにより緻密なピント合わせが可能になります。
ちなみにルーペを使わないと写真(下)のように見えます。
注意しなければいけないのは先ほども述べたように、左右が逆像になっている点。二眼を楽しむ以上この左右逆像に慣れることはマストです。この撮り方は右脳をものすごく使うので、40代以上の人間にとってはボケ防止にもつながると、極めて個人的にその効能を期待しています(笑)
そこがむしろ直感的で二眼の魅力でもあるのです。
シャッターを切るまでの一連の動作
写真(下)のように、上部のファインダーレンズで確認しながら、下部の撮影用レンズの周囲についている各ダイヤルを調整し、向かって左側のダイヤルを回しながらピントを合わせ、構図を決めたらシャッターのレバーを引きます。
ただ、この一連の動作は各メーカーのボタンやダイヤルの配置などによって変わります。しかしおおよそやることは一緒なので参考までに。
露出
露出とは「シャッタースピード」「絞り」「フィルムISO感度」の3つの要素を調整して最適なバランスで写真を撮ることを指します。デジタルのオートではこれを全部自動でやってもらっていたので、なんのこっちゃ!?な人も大勢いる事と思いますが、古くに作られた二眼レフはこれを全部自分の手で行わなければなりません。
露出に関してはまた改めて説明しますが、カメラがちゃんと被写体を撮れるよう手伝ってくれるお助けマンがいます。その名も「露出計」。
露出計を使えば万事OK
露出計は単体のものもあり、そういったものはより高い精度を求められるスタジオなどの撮影現場で使用されます。本当はある程度の露出は体で覚えてもらう方が良いのですが、最初なので露出計を使いましょう。
が、単体で買うのもあれなので、今や露出計もアプリ時代!アプリを使えばお手持ちのスマホがなんと露出計になってしまうのです!
露出計アプリを使って撮ってみる
iPhoneを使っている人はApp Store、その他の人はGoogle Playにアクセスし、「露出計」または「light meter」で検索をかけてみてください。無料、有料と、様々な露出計アプリがリリースされています。今回はiPhoneで使用する露出計アプリ「Pocket Light Meter」をご紹介します。
以前は無料だったのですが、最近は1300円と有料になったようです。他の無料のものも操作方法はほとんど同じなので、今回はこれを参考にして見てください。
アプリのインストールによって上のようなアイコンが現れます。
使い方は簡単。まずはフィルムの感度を設定し、撮りたいもののピントを合わせたい場所をタップ。するとオレンジの枠(測光フレーム)がそこに移動するので、その状態でHOLDを押します。
そうすることにより現在の光源下での適正な露出を得られます。画面に出た絞りとシャッタースピードの数値通りにカメラのダイヤルを回してセットしてあげればいいだけという、とても簡単な仕様です。
露出早見表
「露出」は単体やアプリの露出計を使っているうちに「ああ、ここのこの時間のこの光の入りではこんな感じなんだな。」とだんだん慣れて覚えていくでしょう。
凡庸性の高いフィルムISO感度400での各シーンでの露出バランスを簡単にまとめたので、これを覚えておけばより二眼レフ撮影が楽しくなると思います。
現像
フィルムを全て使ったら現像に出しましょう
昔はたくさんDPEプリント屋さんやDPEプリント代理店の印の看板を掲げるコンビニや薬局、お菓子屋さんがあったものです。大手コンビニすらDPEから撤退して幾久しい昨今、数少ないプリントショップを探さなければなりませんが、幸い「パレットプラザ」や「カメラのキタムラ」をはじめとする駅チカ駅ナカのプリントショップがDPEプリントを行なっています。
一部の店に限ったことですが、こちらが舌を巻くほど現像に詳しいマニアックな店員さんがいる店舗もあるとかないとか。
ネットでプリント依頼 (トイラボ)
今の時代、ネットでのプリントもスタンダードになっています。大手フィルムメーカーや大手家電量販店のネットページ、またネット専門でプリントサービスを行っているショップまで。リバーサルフィルムやブローニーフィルムでさえネットを使って現像できるので、忙しい人、近くにDPEプリントショップが無い人には便利ですね。
プロ用プリントラボに持ち込む
プロカメラマンやハイアマチュアカメラマンたちも利用する「プロラボ」というところがあります。「ラボ」とは写真の現像所を指す言葉で、街のDPEショップが機械でオートマチックに写真をプリントするのに対し、プロラボはその名の通りプリントのプロ達がカメラマンの意向を細部まで受け、一枚一枚を丁寧にハンドプリントする現像所のことを言います。
時間と卓越した技術、そしてそれに似合った料金が、色彩、質感と、全てが1hプリントのそれとは次元の異なるものを提供してくれます。
コンテスト応募や個展など、ここぞ!という際はプロラボを利用して写真をプリントしてみてはいかがでしょうか?どの街にもあるというわけではありませんが、最近はネットや宅配でも受け付けているので気軽に利用することができます。
主なフィルムメーカー
富士フイルム
現在もフィルムをコンスタントに作り続けている国内最大のフィルムメーカー。フィルムのみでなくカメラも販売していますが、現在はフィルム製造から派生した技術をもとに最高級化粧品も製造。
フィルムのラインナップも豊富で、肌の質感にこだわった「スーペリアプレミアム」や、扱いやすく誰もが失敗の少ない最高の写真を手に入れられる「プレミアム」など、そしてフィルムレガシーとして多くのフォトグラファーを魅了してきた「ベルビア」。
富士フィルムのフィルムは日本人の美意識に応えるために進化を遂げてきました。
Kodak
アメリカンカルチャーのアイコンといっても過言ではない「コダック」。豊かな表現力はまさにアメリカン・ドリームそのもの。ISO400のブローニーフィルムとして最もおすすめしたい「ポートラ400」は世界最高の粒状性を謳い、その鮮やかな発色はまるで絵画。白黒のTXはメリハリのある画質が立体感のあるBlack'n Whiteを表現。
供給が少ないので価格も上がり気味ですが、一度でも使うとやみつきになる粒子の細かさは絶品です。
今でも買える二眼レフ
二眼レフは基本的に中古の機材です。中には半世紀以上も前のものもあるので、商品のコンディションに関して出品者の表記事項をしっかりと確認し、また出品者にメールで詳細を確認するなど、ご自身が充分に納得した上でご購入下さい。
ローライフレックス ROLLEIFLEX プラナー PLANAR 3.5F ディフューザー付き
二眼レフの代名詞「ローライフレックス」。二眼レフを志した人なら必ず憧れます。中でもプラナーのレンズはその柔らかな描写力と深い発色に定評があり、最高級な2.8Fよりもハンドリングが軽快な75mm 3.5Fを搭載した本モデルは、露出計も備えていて、しかも今では貴重なセレン露出計部分にはめるデュフューザーが長年の保管に失われることなく付いています。
二眼レフはローライを模倣したものが大変多い、というかほとんどですが、さすがの本家を使用するとツァイスのレンズの描写力に圧倒されます。たった6cm四方の正方形の中に広がる世界なのですが、ローライを使うと世界征服した気分にさせてくれます。
ローライフレックス
ROLLEIFLEX PLANAR 3.5F ディフューザー付き◆0975
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148,000
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ROLLEIFLEX ローライフレックス 2.8F Planar プラナー 80mmF2.8【中古】AB
ローライフレックスの中でも最高峰といえばやはりプラナー80mm F2.8でしょう。大口径レンズの描写力は時を経てもなお美彩を誇り、それどころか刻んだ歴史の分だけ味わいを増しています。柔らかな表現と独特なタッチで描くまるで巨匠の描く絵画のような色彩。
二眼の最高級にして、保存状態が稀なくらい良好な本機。二眼を極めたい人にはおすすめです。
ROLLEIFLEX
2.8F Planar プラナー 80mmF2.8
参考価格:
246,740
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Rollei ローライコード Vb 【レンズ内クリーニング/各部点検済】
電池もなく、純粋に機械のみで動く美しい芸術品、それがローライの二眼です。その中でも「ローライコード」はローライフレックスの廉価版として当時登場するも、そのミニマムなデザインとハンドリングに優れた性能に人気が集まり、1950年代の報道関係を中心に話題をさらいました。
昨今の中古市場でもその人気は衰えを知らず、保管状態によってはその価格は上位機種のローライフレックスを上回ることもしばしば。出品された本機はプロによる整備と各部点検を行なっているので、着いたその日からローライコードの最終型として一つの完成を見た本機の熟成された味わいを堪能できます。
ヤシカマット124G 【中古カメラ 中判カメラ】 ランク:B
かつて長野県に存在した純国産メーカー「ヤシカ」。そのヤシカが1950年代初頭から売り続けているのが二眼レフカメラ「ヤシカフレックス」です。その最終型として完成を見たのが1971年に発売された本機「ヤシカマット124G」。
一貫してローライのコピーにこだわったのかどうかはわかりませんが、海外でもなかなか売れたようで、米国などでは中古カメラ屋さんでちょこちょこと見ることができます。レンズに定評があり、シャープな画質は本家にも迫る勢いで、当時諸外国から見下されていたMADE IN JAPANの底力を見せつけ、日本の光学機器のクオリティーの高さを世界中に知らしめました。
MINOLTA オートコード(L型)【中古カメラ 中判カメラ】ランク:B
世界に誇るミノルタの「オートコード」。名前からしてローライコードのパクリか?と思ってはいけません、このカメラ、国産初の二眼レフとして現在も二眼レフフアンにとってはレガシーとして位置付けられているカメラなのです。
出品されている本機は「L型」といって1955年に販売が開始されたものですが、このL型からセレン露出計が組み込まれ、ロゴのあるヘッドプレートを上に倒すと露出計が姿を現します。その精度は不明ながらも作動はしているようなので、日本のカメラ史にその名を刻み込む名機、ローライに比べれば値段もお手頃なので、入門機としていかがでしょう。
Mamiya C330プロフェッショナル 105/3.5 DS【中古カメラ 中判カメラ】ランク:B
レンズが交換できる二眼レフとしてセンセーションを巻き起こした「マミヤフレックスCシリーズ」。本機は多くのプロフォトグラファーを魅了したプロ対応機の「C330」であり、120フィルムと220フィルムの両方に対応しています。
ピント合わせ機構が蛇腹式で、限界まで伸ばすと二眼レフにしては珍しいマクロ撮影が可能。人物ポートレートで威力を発揮し、アメリカの著名な写真家ダイアン・アーバスも正方形の写真が秘めたその精神性に傾倒し、自ら命を断つまで身体的マイノリティーのポートレートをこのカメラで撮り続けたことでも有名です。
極限の芸術に挑んだ奇才が愛用した純国産の名二眼レフ、価値ありの逸品です。
これがなきゃ始まらない、特選フィルム
Kodak カラーネガティブフィルム プロフェッショナル用 ポートラ400 120 5本パック 8331506
ISO感度400に特化し、世界最高微粒子が人物を撮れば肌は滑らかでキメの細く、風景を撮れば絵画のような色彩を約束してくれます。特に空の青さや海の鮮やかさには定評があります。
Kodak カラーネガティブフィルム プロフェッショナル用 ポートラ400 120 5本パック 8331506
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14,230
円
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FUJIFILM カラーネガフイルム フジカラー PRO400H ブローニー 12枚 5本 120 PRO400H EP NP 12EX 5
白熱灯、蛍光灯、自然光と、多様な光源下でも確かな色を導き出す「第四の感色層」がISO400の持ち回りの良さと相まって、あらゆるシーンで二眼レフによるフットワークの軽さを持つ撮影を実現します。
型番:120 PRO400H EP NP 12EX 5
FUJIFILM
カラーネガフイルム(プロフェッショナル用) フジカラー PRO400H ブローニー 12枚 5本 120 PRO400H EP NP 12EX 5
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14,240
円
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KODAK プロフェッショナル用 白黒フィルム トライ-X 400 120 5本パック 8568214
コダックのTXは数ある白黒フィルムの中でも上位商品のTMAXに比べ、わりとレトロな感じの、まさに「古めかしい写真」と言った感じの描写が持ち味。クラシックな二眼レフとの相性はバッチリで、どの機種を使ってもイメージしている通りのレトロクラシカルな一枚を堪能できます。
KODAK
プロフェッショナル用 白黒フィルム トライ-X 400 120 5本パック 8568214
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8,930
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都内は比較的あちこちにある中古カメラ屋さんをしょっちゅうのぞいているのですが、なかなかこれだ!というローライには今だに巡り会っていません。まぁ予算的なものもありますが…。
昔レンジファインダーのローライ35を使っていましたが、今となっては売らなければよかったと超後悔です。でもそれを今頃誰かが大切に使っていて、また私も誰かが大切に使っていたローライフレックスプラナーF2.8を手に入れようとしている。
クラシックカメラの息吹というか、彼らの持つ時間はこうやって流れていくのだなと考えると、果てしないロマンを感じずにはいられません。