フィルムカメラとは
フォトグラファー
JOHN CHEESEBURGER
デジタル写真が当たり前の昨今、フィルムカメラをご存知の世代と知らない世代が混在しているものと思います。カメラや写真が好きな人はもちろんフィルムカメラそのものを知っていると思いますが、そういう時代があったことは知っているけど詳細は知らないという人のために簡単に説明しますね。
最も異なるのは撮った後
大まかに言えばデジタルカメラもフィルムカメラもシャッターを押す寸前までの所作は同じです。ただ、レンズから入ってきた光(風景や人物像のこと)を受け止めるのが撮像センサー(=デジカメ)かフィルム(=フィルムカメラ)かの違いがあり、センサーは風景などを電気信号に変えますが、フィルムはシャッターが開いているそのほんの僅かな時間の間に表面が化学反応を起こす仕組みです。
しかし最も大きく異なるのは撮影後に撮った写真を見るまでの時間。デジカメはご存知の通りボタン一つですぐに見れますが、フィルムカメラはフィルムを取り出してからそのフィルムに「現像」という処理をかけ、そこから印画紙にプリントしなければ何がどう写っているのかを見ることはできません。
現像こそが醍醐味
すぐに写真を確認できるデジタルカメラに比べ確かに時間はかかりますが、歴史を刻んだ中古のクラシックカメラによるアナログな手法で撮った写真、現像するまでどんな写真が撮れているかわからない、そして出来上がった写真はデジカメのようなモニター上の「画像」ではなく、手に取って楽しむことができる、これぞ醍醐味です。
昨今のデジタルカメラはたしかに驚くような美しさです。プロ用の高価なカメラでは、ある意味リアルを超えています。しかしフィルムで撮り、手にしたその写真にはデジタルでは決して実現できない歴史の深みと温かで特徴的な画が広がっています。
デジタルはどのカメラを使ってもほとんど同じ画ですが、フィルムカメラ、特にヴィンテージカメラにはそれぞれの個性が顕著にあり、現像のプロセス如何によっても画が大きく変わってきます。
経年変化を楽しむ
Melrose (LosAngeles/1992) Rollei 35使用
写真自体にも「経年変化」と言って、時の流れとともに微妙に移り行く色彩の変化があり、HDの中で永年不変のデジタル写真には無い"朽ちゆく美"があります。そんなところが若い人には新鮮に映り、今まさにフィルムカメラが脚光を浴びているのでしょう。
ある書店に行ってみたらフィルムカメラの特集を組んでいて様々なムック本が並んでいました。その多くに「憧れのフィルムカメラ」とありましたが、我々40代以上の人間には「懐かしのフィルムカメラ」なので、ファッションのように時代は周り巡ってくるということなのでしょう、きっと。
中古カメラはピンキリ
ということで、中古カメラ市場が熱いです。すなわち、数に限りがあるものに対して需要が熱を帯びれば、価格も上がっていきます。特にライカに代表されるように40年以上前に生産されたヴィンテージカメラというやつは、じわじわと値上がりの兆しも見えます。
中古カメラは、はっきり行ってピンキリです。状態が良くておしゃれで、しかも手頃な値段のものを皆が探しているので、早い話が「見つけたもん勝ち」ってやつです。
街には中古カメラ屋さんが結構あります。ネットでも検索できますし、一度足を運んでみてはいかがでしょうか?
フィルムカメラの種類
一眼レフ
最も皆がよく知っているカメラのスタンダード型。その歴史は100年ほどあり、カメラ本体にレフ板(ミラー)があるのが特徴。レンズから入ってきた像がそのまま写真になるので、構図作りも直感的に行えます。ちなみにこのミラーを取り除いたものが今流行のミラーレス一眼。
二眼レフ
読んで字のごとく、レンズが上下に二つあるからこの名前がついたカメラで、その歴史は130年以上。「ウエストレベルファインダー」と言って、上からのぞき込むように撮り、上のレンズがファインダーになっているのでそこで構図確認し、下のレンズで写真を撮るという仕組みです。
ただ厄介というか、むしろそこに味があるのですが、基本的に一眼レフの仲間ですがメカニカルな部分で構造が異なるので左右逆像で構図を確認しなければなりません。これには慣れが必要です。
ブローニーという特殊なフィルムを使うので出来上がる写真は正方形。これがまたすごくおしゃれなのです!
ビューカメラ
よく昔の写真館に置いてあるようなクラシックカメラに見る、レールの上に蛇腹のついたアレです。「アオリ」という、建築物を撮る際についてしまった遠近を垂直に直す機能を持っているので、建築写真を撮ったり、大伸ばしするような大規模広告を撮る際に専門家によって利用されてきました。
しかし昨今は両方ともデジタルで行えるようになったので、ほぼ過去のカメラ遺産となっています。ボディーに希少な木材を使用するモデルなどはこだわりを持つコレクターも多く、大変高価です。
レンジファインダー
一眼レフのようにファインダーがレンズの延長上にはなく、向かって右端にボディをスルーしたファインダーがついているのが特徴。
レンジファインダーという名の如く測距計がついているのでピント合わせはレンズと同調していますが、合わせ方がカメラや年代によって一癖も二癖もあり、そこに魅力があったりもします。直感的な撮影方法なので、スナップ写真に強く、瞬発的な情熱を表現したい人には向いています。
インスタントカメラ
「チェキ」に代表されるように、撮ったらすぐに本体からプリントがはじき出されて、数十秒ほどすると写真が浮き上がってくるという、ある意味デジカメの理念の原点。
若い世代にとって「インスタントカメラ」といえばチェキですが、40代以上は米国の「ポラロイド」を連想します。ポラロイドは中古市場でも人気ですが、フィルムを今や1社しか作っていないので、8枚しか撮れないのに3,000円以上するという残念な状態です。
レンズ付きフィルム
一世を風靡した「写ルンです」が代表的。かつて「使い捨てカメラ」と揶揄されましたが、実際には分解されてリサイクルされています。今でも比較的容易に入手できます。
容易に現像とプリント(同時プリント)を楽しめるので、最も気楽に楽しめるフィルムカメラと言えます。ちょっとした小ネタですが、警察の捜査では「改ざんが不可能」なところから証拠物件の撮影で今だに愛用されているそうです。
レンジファインダーカメラの魅力
ロマンティック
デジカメを使っていて課題となるのが充電。電池が切れればなんの用も足しません。しかし古き良きレンジファインダーは基本的に機械式なので電源を使いません。それはそうです、電池など無い時代に作られたものなのですから。
職人の手によって丁寧に作られ、時を経るごとに朽ちてゆきながらも現在(いま)を撮り続けるなんてロマンを感じませんか?
また、メンテナンスさえ怠らなければ永遠に機能するところは、夫婦の愛にも相通ずるのではないでしょうか。
直感的
前述のように、レンジファインダーは直感的な撮影をすることができるカメラ。もちろん、腰を据えて構図を作ることも可能ですが、そのコンパクトさが機動性を発揮するので、露出の取り方にさえ慣れれば、カバンからサッと出してササッと撮るには適しています。
ただ、高価なライカはともかく、カメラ黎明期の1950年から70年にかけて作られた安価な大衆モデルはルックスとその描写こそ味はあるのですが、如何せんピントが合わせにくいのが難点。しかし慣れれば"感覚"で撮れるようになります。
要は直感的=慣れること、ですね。
威圧感ゼロ
とにかくこのレトロクラシカルなルックスは、無機質なこのデジタル時代において、おしゃれ度100%注目度120%のカメラです。カメラって、特にデジタル一眼レフなどは極太のレンズを向けられると人によっては萎縮してしまうものです。
しかしこのレンジファインダーを向けられても威圧感はゼロで、しかもなんだか撮られているのが楽しくてしょうがなくなってきます。こんなにも愛嬌のあるやつはいないというくらい四六時中一緒にいたくなるカメラでもあります。
合理的
レンジファインダーのコンパクトさはひとえに一眼レフのようなミラーボックスを本体内に持たないが故。これがレンズの設計バリエーションの自由度にも大きく貢献し、またミラーによるショックが無いためにシャッターが非常に軽快かつソフトにきれるので、手ブレの軽減にも繋がっています。
一眼レフのシャッター音に慣れてしまっているとレンジファインダーのシャッター音って結構貧弱に聞こえてしまうかもしれませんが、これがなかなか味がある音なのです。非常に心地よい響きですよ。
そして何より、かっこいい
レンジファインダーカメラの選び方
値段
値段は正直ピンキリです。状態によります。状態の良し悪しは店の見立てにもよりますが、値段があまりにも安すぎるものは要注意です。特にネットで安すぎるものを見つけた場合は注意してください。様々なメーカー、様々な年代のものがあるので、まずは好みの商品を店頭なりWebショップで見つけてからその商品が大体幾らくらいで取引されているのかを把握しましょう。
年代と状態
店頭ではしっかりと話ができるのですが、ネット購入となると相手の顔が見えないぶん本当の状態がわかりません。悪意のある業者だと実際とは異なる写真を載せている可能性もあるので、おすすめなのはやはり中古カメラ店でのアドバイスを受けた上での購入です。
特に1950~60年代のものは経年変化や保管の良し悪しによるレンズの曇りや拭きスレなどがあったり、露出計が付いているモデルでも目盛りが狂っていることがままあるので、その辺りの情報がネットでは不確かな場合も見受けられます。でも店頭だと実際に目にすることができるので安心。
ただ、ネットで購入した場合でも中古カメラ店さんに持って行って「これ手に入れたのですけど、どうでしょうか?」と尋ねてみれば色々教えてくれるはずです。
何しろフィルムカメラが大好きだからこそ、この時代に中古カメラ店を営んでいるわけですから、間違いなく歓迎してくれるはずです。それに、「フィルムを買う」というお付き合いもそこから始まるでしょうし。
著名なレンジファインダーカメラメーカー
LEICA
レンジファインダーと言えばドイツの「ライカ」、ライカといえばレンジファインダーと言われるようにもはや代名詞でもあり、まさにレンジファインダーの皇帝。
国産メーカーはあのNikonでさえライカのコピー品と揶揄されていたにもかかわらず頑張っていましたが、ライカが歴史的名機「M3」を発売した時に全社がもはやその領域に到達できないことを知り、レンジファインダーを諦めて一眼レフへと軌道を修正したほど。
そんなライカです、やはり中古市場でも高いです。高いけど、ライカを持てば完璧です。
CONTAX
ライカに同じくドイツの老舗カメラメーカーのブランドとして生まれ、後年はレンズメーカー「ツァイス」が日本の老舗カメラメーカー「ヤシカ」と共同で再度カムバックし、ライカと肩を並べる存在に。
クラシックとして人気があるのはカムバック前に生産されていたモデルですが、なんせ50年以上も前のカメラなので状態の差が激しく、レンズに曇りやカビなどなく完動品の状態を見つけるのが困難。しかし50年代に入ってからのものだと4~5万円でもそこそこ良いものが買えます。何よりもレンズです、ツァイスのレンズにヨダレが出る人はどれほど多いことか。
Rollei
二眼レフのイメージの強いドイツの老舗ローライですが、実はコンパクトカメラも作っていて、その傑作品「ローライ35シリーズ」は60~70年代にコンパクトカメラブームを巻き起こし、後のコンデジブームにも繋がったと言えます。
当時のサラリーマンの月給が3万円ほどの時代に7万円もしたので、憧れている人は多かったようです。その夢をまさに今叶える人も。物によってはドイツ製とシンガポール製があり、やはりドイツ製が人気。
Nikon
ライカに肩を並べる国産の堂々たる名機といえばレンジファインダーを知る方なら誰もが「ニコンSP」と答えるでしょう。1950年代、日本のメーカーも負けてはいなかったのです。
他にも歴史的な名機を輩出しているNikonですが、このSPが中古市場では非常に人気です。また、高いのは人気だけでなく値段も40~50万とお高く、そのうえなかなか中古カメラ屋さんに行っても巡り合えない幻に近い存在です。
Canon
Canonも戦後50年代60年代とライカに追いつけ追い越せと、たくさんのレンジファインダーを作ってきました。
50年代に人気だった「キヤノンVT」や60年代にレンジファインダー撤退寸前の「キヤノン7」など、結構優秀なカメラを作っていたのですが、元々も大衆的だったせいか現在中古市場でも3万円前後で買えるものが多く、レンジファインダー入門者には手が出しやすいのではないかと。
Petri Camera Co.
日本国内では2番目に古い知る人ぞ知るカメラメーカーで、、ニッチなものばかり作っていたそうですが、現在も中古カメラ屋さんに行ってもあまり見かけないので幻のレンジファインダーとの異名も。
50~60年代とNikonに対抗して「Nikonと同じ性能、低価格」をセールスポイントにしていたそうですが、実力に反して「安かろう悪かろう」のイメージが先行。しかも電子化の並みに乗り遅れたのであえなくカメラ事業から撤退したという、カメラだけでなくブランドも幻となってしまったメーカーです。"異端"を愛する人におすすめ。
レンジファインダーの楽しみ方
フィルムとは
まずはフィルムを知ることが先決です。かつてのようにコンビニでいつでもどこでも買えるわけではありませんが、Amazonなど通販で容易に手に入るので心配無用です。
フィルムはデジカメのメモリーカードのように無尽蔵に撮れるわけでなく、24枚撮り、36枚撮りと、撮影可能な枚数が決まっています。そしてそれらを現像しなければならないので、街のプリント屋さんを知っておきましょう。
ネットで申し込む現像サービスもありますが、最も早く写真を手に入れることができるのは街のプリント屋さんで、私がよく使う「パレットプラザ」ではフィルム出した1~2時間後には写真を手にしています。
ネガとポジ
フィルムには「ネガ」と「ポジ」がありますが、フィルムのバリエーションも豊富で一番便利なのがネガなので、この際ポジのことは忘れてネガフィルムを購入しましょう。ちなみにネガはネガティブの略ですが、ネガテイブ思考向きのフィルム、ということではないので安心してください。同じようにポジはポジティブの略ですがその説明はまた改めて。
白黒フィルム
白黒フィルムというのもあります。文字通り白黒の写真が撮れるのですが、これがまたドラマティックでして、仕上がった写真を見たら悶絶すること間違いなしです。
なぜか白黒で撮ると"凄い作品を撮った感"に満たされるのですが、白黒写真って、見る側にカラーに関する情報を与えない分、一番センスが問われる写真の撮り方でもあります。
とは言っても、百聞は一経験にしかず、ぜひ白黒写真、チャレンジして見てください。デジカメの写真をアプリで白黒に変えるのとはワケが違うとわかるはずです。
データ化
歴史を刻んできたレンジファインダーカメラを使って撮った写真、やっぱSNSでも披露したいですよね!プリントした写真を写メで撮って、という原始的なんだか最新なんだかわからない方法もありますが、もっと良い方法があります。
それはデータ化。さすがデジタルのご時世です、街のプリント屋さんの多くが写真をデータ化してくれます。つまり、現像した後のネガから直接デジタル化してくれるので、劣化がなく、撮ったそのままのイメージのままスマホやパソコンで見ることができます。
自宅でもデータ化できる
データ化した後はスマホのアプリで画質を調整することももちろん可能ですし、晴れてInstagramやFacebookへのアップも行えます。また自宅にプリンターがあればそのデータからプリントすることも。現像のデータ化は基本的に有料で、料金もお店によってまちまちですが、ぜひトライしてみましょう。
しかしこのデータ化を自分でやるという手もあります。最近は品質の高いフィルムスキャナーを安価に手に入れることができるので、現像はお店で、その後は自宅で、という方がエコノミーかもしれませんね。
サンワダイレクト フィルムスキャナー 高画質 1400万画素 モニタ付
お手軽にフィルムをスキャンしてそれをデータにでき、しかも値段もお手頃な「サンワダイレクト」のスキャナー。
スマホやタブレットなど画面の上で撮った写真を楽しみたい人には必須です。お店でもデータ化はやってくれますが、大体700~1000円取られるので、このスキャナー1台買って10回スキャンすればもう元が取れてしまうので、インスタやFbにちょこちょこアップしようと目論んでいる人には強い味方になると思いますよ。
サンワダイレクト
フィルムスキャナー ネガ デジタル化 35mmフィルム スライドフィルム 高画質 1400万画素 モニタ付
参考価格:
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レンジファインダーの撮り方
露出
50~60年代に作られたクラシックなレンジファインダーカメラはほとんどがマニュアル露出です。露出とは写真を撮るときに必ず付いて回る「絞り」「シャッター速度」「フィルムISO感度」の3要素を指すのですが、これらが「適正露出」と言ってバランス良い状態になったときに、人の目で見たのと同じ極自然な写真が撮れるわけです。
デジカメには必ず露出を測る機能が付いていて、フルオートモードはこれを瞬時に全自動でやってくれていたのですが、それを自分でやらなければなりません。極端に言えば、人間の瞳も常に露出調整を行なっているようなもので、それをカメラで行うということです。露出について詳しく説明すると写真講座になってしまうので今回は割愛しますが、心配ご無用。
露出計を使えば万事OK
「露出計」という機械があり、その機械を使えば今撮りたいものに対し、カメラをどのような数値でセットすればバッチリの画を撮ることができるのかを教えてくれます。要はお助けマシンみたいなものです。
一番確実で正確なのは単体の露出計ですが、さすがはスマホ時代!なんとアプリで「露出計」が出ています。しかもこれがなかなかの精度なのです。
露出計アプリを使って撮ってみる。
iOSの人はApp Store、Android携帯の人はGoogle Playで「露出計」もしくは「light meter」で検索してみてください、無料のもの有料のものと、色々な露出計アプリが出てきます。今回はiPhoneで使える無料の露出計アプリ「Pocket Light Meter」を使って見ます。無料なので画面上部に広告が出ますが240円払うと広告が出なくなります。ちなみに私は払って出なくしました。
アプリをインストールすると上の写真のようなアイコンがホーム画面に現れます。
簡単に説明をすると、まず入れたフィルムの感度を設定し、撮りたい人や景色のピントを合わせたいところをタップすると測光フレームがその場所に移動します。そこでHOLDボタンを押すと適正な露出の数値が得られるので、その数値(出た目)をカメラでそのまんま設定すれば良いという簡単なものです。
では実際に使ってみましょう。
今回はこの我が家で飼っているどう猛なワニを撮ってみます。使うカメラはこの夏に義父から譲り受けた1955年製の「Petri35 COLOR CORRECTED SUPER 2.8」市場でもなかなかお目にかかれないレアなレンジファインダーです。
1.適正露出を得る
まずはカメラ本体に入れているフィルムのISO感度を400にセット。次にワニのピントを合わせたい場所をタップし、測光します。
2.露出を変える
しかしながら出た目のシャッタースピード「1000」などという数値は今から使う60年以上前のクラシックカメラには存在しないので(せいぜい300)、シャッタースピードが250くらいになるまで絞りの数値を上げていきます。そうすると、F5.0がちょうど良いということがわかりました。
3.カメラに露出をセット
レンズについている真ん中のリングを回して、F5.0の目盛りが無いので、おおよその感じでセットする。
ちなみに絞り(F値)を変えれば写真の雰囲気はガラッと変わります。カメラ側についているレンズに「2.8」や「3.5」と表示してあった場合、そのレンズで実現できる最大の明るさ=「開放値」を指します。ちなみにこのカメラの開放値は「F2.8」なので、撮り方如何では結構大きなボケ味を得ることができます。
4.シャッタースピードも変える
レンズについているリングのうち一番レンズ側についているのがシャッタースピードですが、100の次は300と非常に大雑把な作りなので、おおよその感じで250にセット。
5.撮影
露出を決めたところであとは撮影!の前に、ピントを合わせなければなりません。ピントは3つのリングのうち、ボディー側にあるこのノブ付きのものをグリグリやって合わせます。
どのように合わせるかというと、ファインダーをのぞくと下の写真のようにファインダーの中央に赤くずれた部分あり、このずれた像がピントリングを回すことにより左右に動きます。
このズレがなくなった時がピントが合ったことになります。めちゃめちゃ合わせにくいです。これは慣れが必要ですね。
シャッターボタンを切る
ピントが合えばあとはシャッターボタンを押すだけ。
あとは現像に出すのみですが、フィルムは24枚撮りや36枚撮りと、決められた枚数があります。途中で出しては残りの枚数がもったいないので、全部撮り終えてから現像に出すことをおすすめします。
ただ、フィルム途中でもどうしても現像してすぐにプリントして見たい写真がある場合は途中でも「フィルムを巻き取った後」に裏蓋を開けて現像に出すこともできます。
フィルムを巻き取る前に裏蓋を開けるのは厳禁です!開けた瞬間、今まで撮った写真がパーになります。
なので、一度フィルムを入れたら「次に裏蓋を開けるときは巻き取り後」と肝に銘じておいてください。
現像
フィルムを全て使ったら現像に出しましょう
マニアックな人は自分で薬品を使って現像したりもしますが、一般的には撮影終了後カメラから抜き取ったフィルムは街のDPEショップに出します。宅配で送り、現像とプリント後に宅配で送り返してくれるネットでのサービスもありますが、今回は街のいたるところにあるチェーン店「パレットプラザ」に出してみました。
結果、こんな感じに仕上がりました。
水辺の殺し屋と言われるワニの猛々しい感じが如実に出ていますね。それはさておき、この色味。スキャンして画像処理を一切加えていない状態ですが、やはりどこかノスタルジックな風合いがおしゃれですね。
ワニはともかく、真面目に撮ったらこんな感じです。ここではちょっとレアなカメラで試し撮りを解説しましたが、カメラの違いはもちろん、選ぶフィルムブランドの違い一つでも画のテイストは驚くほどガラッと変わります。そこがデジタルと違うところで、面白い部分でもありますね。
主なフィルムメーカー
富士フイルム
日本最大のフィルムメーカー。フィルムのみでなくカメラ本体やレンズ、果てはフィルム製造から派生した薬品技術を元に、高級化粧品まで製造するメーカーに。
キメの細かい日本人の肌をより美しく表現するための研究をし尽くした結果生まれた傑作フィルム「スーペリアプレミアム」、すべての風景をアートに変える色彩玉手箱のような「ベルビア」など、レガシーとも言えるべきフィルムを製造し、今も昔も多くのフォトグラファーから支持を受けています。
Kodak
アメリカと言えばコダック、コダックと言えばアメリカ、再現される色もまさにアメリカの風を感じさせるような独特の発色とシャープな描写に多くのフォトグラファーが魅了されました。
今はなかなか手に入れるのも困難で、種類によってはもはや幻のフィルムとなっているものもありますが、Amazonなどネットでは比較的容易に購入することができるものの、供給が少ないだけに必然的に値段も上昇気味。しかし一度使うと二度とこの粒子の細かさ、立体感は忘れられないでしょう。
今でも買えるレンジファインダー
今でも買えるということは今でも撮れるということですが、今でも修理できるということではありません。セレクトには慎重を期していますが、中古の機材を購入する以上、出品者にメールで質問などしていただき、ご自身でそのコンディションの確認と納得をしていただいた上でご購入下さい。
LEICA M3
ライカM3、フィルムカメラの頂点にして、デジタル・フィルム問わず、すべての写真愛好家の憧れ。1954年の登場は世界のカメラ史に残るものとなり、現在に渡りM3のライカこそ真のライカと言わしめるほど、完成度の高いカメラ。
ある店の店主はこのM3を持つということはフィルムカメラの卒業証書を手にしたようなもの、と。
Rollei B35
二眼レフの老舗として有名なローライが1960年代に発売したコンパクトカメラ「ローライ35」は一躍世にコンパクトカメラブームを巻き起こしました。中でもこの1969年に発売された「B35」は普及版として50年近い時を経た今でも状態の良いものが多く出回っていて人気。
ローライ35はモデルや時期によってドイツ製のものとシンガポール製のものがあり、やはりドイツ製の方が人気が高く、数もそう多くはない感じです。本機は正真正銘のドイツ製です。
Nikon S2
1954年、ライカが発売したM3に衝撃を受けたニコンは当時改良を加えて販売寸前だったこのS2に新たな改良を加えることを余儀なくされたという逸話を持ち、満を持して世に出されたこのS2は瞬く間に名機に。
シャッタースピードも1/1000秒まで備えていて、ボディー素材などの質感も高いです。S2はシリアルナンバー6180000から各種ダイヤルや表示部が銀色から黒に変更されていて、本機はシリアルナンバー6136880と前期型なため、銀ダイヤルのままの貴重なアイテムです。
Nikon ニコン S2 613万台 前期型 + NIKKOR-S.C 5cm F1.4 【中古】
参考価格:
49,500
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Canon キャノン 7s + 50mm F1.8 Lマウント
ライカのM3に衝撃を受けたのはNikonのみでなく、Canonも同様に衝撃を受け、だからかどうかは定かではありませんが、この7Sを1965年に発表して以降、レンジファインダーからいっさい手を引きました。よって本機はCanonが作った最終型のレンジファインダー。
機能も描写も熟成されていて、露出計もちゃんとついているので、レンジファインダーを初めて持つ人にもおすすめです。50mm F1.8の描写、立体感があって、でも時代を経ているわけで、とても味わい深いものがあります。
Carl Zeiss CONTAX IIIA
1926年にカール・ツァイス財団によって作られたカメラメーカー「ツァイス・イコン」による最後の「コンタックス」ブランドのカメラとなった「IIIA」。1954年に発売されたこのカメラはちょっと扱いに一癖も二癖もあるカメラですが、組み合わせ次第で様々な描写を味わえるカメラです。本体のみなので、中古カメラ店めぐりなどして合うレンズを探してみてください。結構簡単に見つかると思いますが、Sonnarの50mm F1.5あたりがおすすめです。
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rakuten.co.jp: 2018年9月11日 17:14時点
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Petri35 COLOR CORRECTED SUPER 2.8
本記事での作例でも使っているカメラで、イエスキリストの12使徒の一人でもある聖ペトロが名の由来の「Petri」というブランド。歴としたMade in Japanのカメラで、昭和初期に日本で二番目にカメラメーカーとして設立された「栗林写真機械製作所」が作った傑作機です。
なかなか明るいレンズなので、味のある写真を撮ることができます。ピント合わせにコツが要りますが、慣れれば容易です。45mmという画角も街でスナップを撮るにはちょうど良いのですが、はっきり言って重いです。鉄の塊なので(笑)
しかしながら当時の日本の工業力の底力を感じます。時代の波間に消えた「幻のカメラ」ですから、じっくりと味わってください。
ペトリ
Petri35 COLOR CORRECTED SUPER 2.8 レンジファインダー中古
参考価格:
19,800
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これがなきゃ始まらない、特選フィルム
FUJIFILM カラーネガフイルム フジカラー PREMIUM 400 36枚撮り 3本パック
粒子の細かさが半端なく、全体的に滑らかで印象的な写真が撮ることができ、でも発色にはややパンチの効いたものを感じるのでまるで絵画のような仕上がりを実感できます。人物はドラマティックに、かつ美しく、風景は記憶の中の色彩をより高いコントラストで再現してくれるでしょう。富士にはこのフィルムの火は是非灯し続けて欲しいと願わずにはいられないフィルムです。
FUJIFILM カラー
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Kodak 白黒フィルム プロフェッショナル用 35mm トライ-X400 36枚(5本セット)
レンジファインダーを買ったら是非お試しいただきたいのが白黒フィルム。何気なく撮った横断歩道さえドラマティックな映画のシーンのように変えてくれます。一見簡単なような白黒フィルムも、色の情報が無いぶん、カメラマンが何を感じて撮ったのか、というところ大事になってきます。
心を映す鏡のような白黒写真、このKodakのTRI-Xに委ねればまず安心です。
Kodak
白黒フィルム プロフェッショナル用 35mm トライ-X400 36枚(5本セット)
参考価格:
5,980
円
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おまけ
今回のワニを撮ったサンプル撮影では露出アプリを使いましたが、露出の取り方は回数を重ねているうちに慣れてきて大体の目安がわかってくるものです。一番凡用性の高いフィルム感度400を使った際の簡単な露出の目安を表にしたので、この数値を頭の中に入れておくといざという時に役に立ちます。
普段は一眼レフを用いている私ですが、妻の実家に祖父から義父へと受け継がれたレンジファインダーをいただき、フィルムカメラとしてのレンジファインダーを25年ぶりに使ってみましたが、いやはや趣深い時間でした。
クラシックカメラも安いものからライカのように高いもの、状態や品質も様々なものがありますが、そのどれもが共通しているのが個体それぞれのヒストリーを持っているということ。クラシックカメラを使うということはそれをレガシーとして引き継ぐことになります。実にロマンを感じますね。