ライティングとは
フォトグラファー
JOHN CHEESEBURGER
「ライティング」とは簡単に言えば写真撮影の時に作る光のこと。みなさんお使いのスマホにもLEDフラッシュついていますよね?それも立派なライティングです。
ただ、ライティングは撮るものによって、フラッシュなどの光源の大きさや質感を変えてあげる必要があり、そうすることによって被写体をより魅力的に撮ることができるのです。
ライティング術って難しいの?
本格的に勉強すればライティングはものすごく奥が深いです。特に人物や車などといった大きな被写体の撮影に要するライティングやスタジオでの広告撮影のようなライティングは、独学でやるにせよ弟子入りするにせよ、一朝一夕にできるものではありません。
しかし、ネットショップなどで上げる小規模な商品写真や、昨今ではInstagramにアップするようなパーソナルな写真に於いては、深い勉強やプロが使うような大掛かりな機材を使わないでも、ちょっとしたライティングのコツで抜群にハイセンスな写真を撮ることができます。
インスタ映え写真に必要なもの
インスタに載せるといっても、お料理やご自慢のアクセサリーなど、様々なものがあると思います。今回はそういった小さめのものの中から、「一皿料理」を美しく撮るための超かんたんライティング術をご紹介します。ぶっちゃけ、誰でもできます。
必要なもの
カメラ
今回は一眼レフカメラ、もしくはミラーレス一眼カメラを使います。
フラッシュ
一眼レフやミラーレスについている小出力の内臓フラッシュではなく、今回は出力の大きい「外部フラッシュ」を使います。をただし条件があり、「ワイヤレス」での遠隔発光が可能な「スレーブ機能付き」のものを使います。
ワイヤレストランスミッター
一眼レフやミラーレス一眼のホットシュー(上部の金具部分)につけて、ワイヤレスでスレーブ機能付きの外部フラッシュを光らせるための送信機です。
ディフューザー
ディフューザーはフラッシュの発光面に付けるもので、硬く直進する光を拡散させて柔らかい光を作り出す効果があり、被写体の影も柔らかいシルエットに変えてしまいます。ちなみにプロの撮影現場で発光にディフューザーを使わず、直火炊きの撮影はほぼほぼ無いです。
あったらあったで良いもの
小物撮影ボックス
ディフューザー効果のある半透明のビニールで作られたボックスです。ネットショップやオークションに出品する小物を撮る際に、このボックスを使うとカタログの写真のような出来栄えになります。
スタンドか三脚
フラッシュを設置する際に、あったらあったで良いですね。ただ、無い場合は三脚でも代用できます。いずれもU字型の「フラッシュスタンド」を仲介させて雲台に設置します。これらが無い場合、高さもあって安定した何らかの台があれば良いですが、安全かつ安定にフラッシュを設置するにはやはりスタンドか三脚の使用をおすすめします。
フラッシュスタンド
三脚を使用してフラッシュを設置する際に間に咬ませるアイテムです。商品名の通りそれ自体がフラッシュを自立させるスタンドとして使えます。ただ、Canonなどメーカー純正品のフラッシュを購入すると付属で付いてくるものなので、純正品ユーザーは紛失している場合にどうぞ。
インスタ映えお料理写真術 PART1
壁バウンス撮影で食卓のお料理を綺麗に撮る!
フラッシュを直接あてずに一度光を壁に当てて跳ね返った光で料理を照らす方法です。柔らかで綺麗で、とても美味しそうな写真を撮ることができます。
インスタ映えの十八番、お料理で実際試してみましょう。今回は自宅のダイニングで、フラッシュを設置するスタンドも無しでと仮定しての撮影を行います。
被写体としてトーストとコーヒーと蜂蜜を用意しました。
1.フラッシュにディフューザーをセット
これにより柔らかく拡散した光を出すことができます。
2.フラッシュのモードを受信モードに
フラッシュのモードをスレーブ(もしくは受信)モードにセットし、カメラからの発信を受けられるようにします。
発光モードをマニュアル発光に
フラッシュにはTTL(写真のキャノンのフラッシュの場合はETTL)とマニュアルの二つの「発光モード」があり、今回はモードボタンを長押ししてマニュアルモードに設定し、光量を1/8に設定します。
4.フラッシュを最適な場所に置く
フラッシュはいくらディフューザーをつけているといっても直当てだとお料理の「表情」が硬くなってしまいます。子供の頃に鏡に太陽光を反射させてどこかを照らして遊んだことってありますよね?同じ要領でフラッシュを太陽と見立て、その光が壁に当たって跳ね返りお皿に降り注ぐであろう場所を見つけ、そこへ置きます。
この「バウンス」という技を使えば、一目散に直進する光が白壁で一度跳ね返ることによって拡散されて和らぎ、被写体に降り注いだ際に発生する影も和らぎます。
ポイント:フラッシュの光をお料理に向け反射させる壁は「白壁」である必要があります。白以外の壁だとうまく光を反射せず思うような効果が生まれません。白壁でない場合は壁の反射させたい部分に白い布を貼るか、コピー用紙などを数枚貼って即席の白壁を作ればOK!
5.シャッターを押してフラッシュが発行するか確認
ラジオスレーブといってカメラとフラッシュが電波でやり取りする場合は問題ないのですが、赤外線通信の場合はストロボとカメラの向きや、赤外線受送信部分が塞がっていたりするとうまくシンクロせずに発光に至らない場合があります。その場合はストロボの赤い受信部分カメラに向けるようにしてください。
6.シャッターを切って最適な写真を撮る。
白壁にバウンスさせた光が全体を柔らかい画にします (マニュアル露出(F5.6 1/80秒,ISO1250,フラッシュ光量1/8)
あとは思うがままにシャッターを切ってください。カーテン越しの陽の光のような柔らかい光に包まれた写真を撮ることができます。特に被写体が食材の場合はいかに美味しく見せるかが重要なポイントで、この方法は直接フラッシュを浴びせて撮るよりも美味的視覚向上に効果的です。
作例
実際にこの「壁バウンス」で主婦カメラマンによって撮られた写真をいくつかご紹介します。
インスタ映えお料理写真術 PART2
撮影用ブースを使った撮影
次はちょっと上級編。撮影用のボックス型ブースにお料理を入れた撮影です。こちらはちょっとしたスタジオで撮った写真のようになります。インスタ映え云々と言っておきながらなんですが、むしろカフェやレストランの「メニュー用写真」に向いています。
フラッシュの光をワイヤレスで飛ばすという手法は同じです。
先ほどの壁バウンスの時と同じトーストとコーヒー、蜂蜜のセットを撮ってみましょう。
1.照明を吊るす
今回はボックスの中に全体的に光を回らせるために直上からフラッシュの光をあてます。本当は左右から当てるもう2灯ほどがあった方が良いのですが、クリップオンフラッシュを3灯持っている人も稀なので1灯だけの場合とします。
ご家庭の照明など天井からの被造物にフラッシュをくくりつけるためのパーマセルテープ
直上から光を落とすといっても、直上にフラッシュをセットするためのブームタイプの照明スタンドも一般のご家庭には無いと思うので、ダイニングの照明の傘にパーマセルテープ(撮影用紙テープ)を吊るし、フラッシュをぐるぐる巻きにして付けるという、ちょいとばかり強引な手法を用います。
紐だとこれがうまくいかないので、パーマセルかセロファンテープなど、テープ類が必須です。
電灯の傘などにフラッシュを吊るす際、傘やパーマセルテープが直接電球に触れないようご注意ください。特に白熱電球の場合は熱によって発火の恐れがあります。
掲載の事例は、この照明器具の傘が問題ないと判断したが故に行った事例です。自己の責任に於いて安全に行ってください。
一番の推奨は写真(下)のように「つっぱり棒」を設置してそこからフラッシュを垂らすことです。
2.撮影ブースの組み立て
こういったキットもいろいろ売っていますが、一番信頼できるのはやはり日本のブランド。HAKUBAさんの撮影用ブースを使います。組み立て方はとても簡単。グイッと立てて、サクッとはめて、パパパっと完成。
3.セッティング
先ほど照明の傘からぶら下げたフラッシュの真下に組み立てた骨組みを持っていき、背景用のバックシートをマジックテープの箇所に設置し、お料理もセッティング
全体図。こうなります。周囲は白のみだとシラけるので、今回はランチョンマットで演出。
4.撮影する
ご覧のように、カフェとかのメニュー写真にピッタリでしょ? (マニュアル露出(F5.6 1/100秒,ISO640,フラッシュ光量1/4)
比べてみる
この撮影用ボックスを使った場合と使わないで撮った場合の写真を見比べてみましょう。
ご覧のように、色味もそうですが、トースト表面のディテールが大きく変わっているのがわかると思います。撮影用ブースを使った方(上)は全体的に優しくまろやかで、トーストと蜂蜜のセットが美味しそうに見えますが、直当ての方はディテールが全体的に硬くて、ポスターのようです。
応用編
お料理の写真で紹介してきましたが、ここで紹介した撮影用ボックス型ブースでのやり方はお料理以外にも使えるとても応用の利く撮影方法。
応用編として小物を撮った事例を紹介します。
サボテンのリングホルダーを撮影用ブースで撮る
作例1
設置まではお料理の事例と全く一緒。ただ置くものが違うだけです。この場合はお料理の時同様に白バックで全体に光を回した明るめの印象で撮ります。
結果、こんな感じになりました。陶器製のウチワサボテンのモチーフが可愛らしい感じですね。全体的に柔らかく光がまわっています。
作例2
今度は雰囲気を変えて、製品に同梱されている黒バックを使って撮ってみます。セットするとこんな感じです。
omg! 雰囲気がガラッと変わりましたね!白バックの時と違いアイテムのディティールがくっきりと伝わります。なんか全体像も引き締まった感じがしますね。特に下の受け皿の部分が白バックの方と違って存在感を増しています。
コツ
コツは、まず外部フラッシュとトランスミッターを持っていない人はそれを手にいれるところからです。
これが揃えばあとはいろいろなところにフラッシュを置いてみて、カメラからフラッシュを切り離すことによって光がどう照射され、撮るものによってどう写りが変わるのか、光のパターンや写りの雰囲気を確認しているその時間がとても面白くてやみつきになると思います。
こういった簡易的な照明術を試しているうちにライティングがどんどん面白くなってしまい、次第にフラッシュや周辺アイテムのグレードもアップしていくという、そうやって写真術は上達していきます。間違いなく。
おすすめ機材
ストロボ(Canonユーザー向け)
Canon スピードライト 430EX 3-RT
あくまでもCanonの純正品なので、CanonのEOSシリーズに使えばどんな機能も使えるのですが、他社製カメラに使用した場合はマニュアル発光のみ使えます。ガイドナンバーという、フラッシュの明るさの数値が43あり、これはなかなかの大光量ということです。
操作性も良く、直感的に操作できるので、初心者でも簡単に扱うことができます。
Canon
スピードライト 430EX 3-RT
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34,800
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Canon スピードライトトランスミッター ST-E2
Canon製のフラッシュに発光指示の信号を送るトランスミッター。発売以来けっこうな年月が経ちますが、今も現役でしっかりと働いてくれています。つまり信頼の性能ということです。
Canon
スピードライトトランスミッター ST-E2
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フラッシュ(その他のメーカーユーザー向け)
カクタス Cactus RF60X ワイヤレスフラッシュ
私の好きなサボテンをブランド名に持つカクタスのフラッシュはメーカーを飛び越えてSONY以外のたくさんのカメラで活用できるフラッシュです。ガイドナンバー60という大光量は、どんな撮影でも魔法のようにこなしてくれるでしょう。
Cactus
ワイヤレスフラッシュ RF60X
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イメージビジョン ワイヤレスフラッシュトランシーバーV6 Cactus V6II
カクタスワイヤレスフラッシュと合わせて使う専用のレシーバー。ただしSONYは規格が異なるので本品は使用できません。
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ワイヤレスフラッシュトランシーバー V6II
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カクタス CactusV6 lls ワイヤレスフラッシュトランシーバー(SONY用)
SONYのαシリーズなどで使用できるよう改良されたもの。
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ワイヤレスフラッシュトランシーバー(SONY用) V6 lls
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ディフューザー
ETSUMI ポーチタイプストロボディフューザー クリップオンストロボ用 E-6216
光の拡散がとにかく綺麗で、取り付けも簡単。バランスよく光を拡散してくれます。
あると便利、フラッシュ撮影用アイテム
HAKUBA デジカメスタジオボックス75 商品撮影用 DSB-75
この記事でも使用している撮影用ボックスです。ボックスの後部、左右、天井とそれぞれ4方向を乳白色のスクリーンで形成しているので、外から来る光をしなやかで優しい光に変えて被写体を照らしてくれます。
4色のバックスクリーンが付いてきます。組み立ても簡単なので、気軽に本格的なブツ撮りが行えます。
HAKUBA
デジカメスタジオボックス75 商品撮影用 DSB-75
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NEEWER フラッシュスタンド
それ自体がフラッシュを自立するためのスタンドですが、下部にスクリューがあり、三脚や雲台にフラッシュを設置するアダプターとしても使えます。
SIKIWIND クリップ式自由雲台 カメラ スタンド しっかり挟む 360度回転
この自由雲台に強度はあまり期待してはいけませんが、クリップオンストロボ1灯くらいなら余裕にホールドしてくれます。クリップ、便利ですよ!いろんなところに付けられて。
SIKIWIND
クリップ式自由雲台 カメラ スタンド しっかり挟む 360度回転
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お料理の基本に「さしすせそ」があるように、魅力的な写真を撮るにも基本的な味付けがあります。そこにもうひと塩振っただけで絶品の写真が仕上がるわけです。そのひと塩こそライティング。たった1灯のフラッシュの照らし方一つ工夫すれば焼き鳥1串で1000人に生唾を吞ませることも可能です。
ライティングは突き詰めれば奥が深いものですが、まずはシンプルなところから楽しみながらこなして行けば、自然とライティング術の虜になっていくのではないかと思います。